田畑 浩
代表取締役
田畑 浩
 (Hiroshi Tabata)

■キャリア開発(2) (2009/06/16)

前回は、 ⇒ http://www.pvi.jp/column/tabata/no134 
私が「キャリア開発」に携わるきっかけは、
2001年4月に、現在の厚生労働省管轄(当時は雇用開発協会主催)にて、
失業保険受給中の中高年の方々を対象とした
「再就職支援セミナー…キャリアの棚卸と職務経歴書の書き方(3日間コース)」
の講師のお仕事、というお話しをさせて頂きました。

そしてそれは、余命半年のベテラン前任講師が、彼より20歳以上も若い
40歳そこそこの私を後任に指名したことから、ということも。


そして、緊張の初登壇。
私はまるで新入社員のようにダークスーツに白いシャツとネクタイ、
というスタイルで会場に向かった記憶が残っています。
受講生は確か50名前後、5〜6名ずつグループを作って、9チーム。
企業研修とは違い、講師だけでなく受講者同士も初対面。
会場全体に緊張感が漂うという、何とも重い雰囲気でスタート。


最初の30分は、このセミナーの目的、流れを説明。
世の中がバブル崩壊によって全く雇用環境が変わってしまったこと、
その中で、キャリア採用に関しては、会社名や役職名だけでは
いくら有名企業出身者であっても難しくなってきていること、
履歴書・職務経歴書は単なる審査書類ではなく、
面接への突破口を開く重要な書類であること等、
応募に対する心構えが真剣でないと、求人企業に皆さんの良さは伝わらない、と
懸命に話しました。

そして何故グループワークにするのか、も。
就職活動そのものは個人活動で孤独ですが、
グループ活動だと、色々なキャリアを持った仲間と情報交換も出来、
また仲間を通じて自分の良さも再認識できるということを伝えました。



今の私であれば受講生の反応を見ながら講義を進め、
時には話の内容やプログラムを変えることもできますが、
当時は自分で考えた台本をしゃべることに必死で、
受講生の反応を見ながら話す余裕は全くありませんでした。

そして、グループ内でお互いの紹介をした後に、本格的にプログラムがスタート。
いきなりはじめのカリキュラムで、一人の受講者に噛み付かれました。
前回も表現しましたが、心の中で叫びました。やめてくれぇー、と。

噛み付かれた原因、それはプログラムの内容にありました。



この3日間のセミナーのゴールは、
インパクトのある職務経歴書を作る、ことでした。
職務経歴書は書類選考でも最も重要視される書類の一つなので、
単なる社歴や異動歴・役職歴、業務内容が書かれたものよりも、
成果貢献のアクションがしっかり表現されたもののほうが、
印象に残ることは間違いありません。

例えば、「電話応対」と書かれたものと、
「明るく迅速な電話応対」と書かれたものとどちらが印象に残るか。
たった二言足すだけで印象が大きく変わります。

また、この会社ではこう働きたい、という意思をもって書くのと、
書かないのとでは当然伝わり方が違います。


私は3日間で創り上げること、をゴールに定め、
初日は、自分の働き甲斐の変化、生き甲斐の変化を考え、
    今後どうしていきたいのかという意思を持つ、
2日目は、自分の学生時代からビジネスキャリアに至るまでの、
    経験・成果・アクション・身につけたスキルをジックリ思い出しデータ化する、
3日目はいよいよ2日間の素材を使って、職務経歴書として表現していく、
というプログラムを作りました。


職務経歴書の書き方の本やサンプルはそれこそ世の中に氾濫していますが、
そういうテクニック論の前に、
自分のビジネスキャリアをしっかりと伝えるには、
上記のプログラムの流れが必要だと考えた訳です。



噛み付いてきたのは、
働き甲斐=今まで何のために、何を目指して働いてきたか、
そしてこれからはどうか、という演習の場面。
なんと一番初めのカリキュラムでした。

「何のためって、お金のため・生活のために決まってるやないか!」と、
早く書類の書き方を教えろ、
と言わんばかりに講師の私に、言い放ったのでした。

他の受講者はシーンとして引き気味に・・・
講師と噛み付いた受講者のやりとりを見守るといった、
今思い出しても寒くなる雰囲気でした。

私はとっさに
「そういうご意見もあると思いますが、人それぞれ働き甲斐は違います。
他の皆さんは過去を振り返ってシートに書いてみましょう」
と全員に向かって演習開始を指示した後、その受講者の席に向かいました。
ここは一対一で話しをしよう、と思ったからです。
(・・・次回に続く)


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