田畑 浩
代表取締役
田畑 浩
 (Hiroshi Tabata)

■キャリア開発(3) (2009/07/23)

キャリア開発(2)の続きです。
     前回の内容は⇒ http://www.pvi.jp/column/tabata/no135


講義が始まって1時間、
「何のために働くって、お金のために決まってるやろ」
という一人の受講者。
他の受講者には演習を促しながら、
私はその方と一対一で話しをしようと彼の座っている席まで歩き出しました。
すぐに職務経歴書の書き方を教えろ!
と言わんばかりの表情。


職務経歴書の書き方の前に、
自分のキャリアをジックリと振り返る必要がある、
ということが、このセミナーでの私の力の入れどころでした。

ひとことで言えば、
職務経歴書に書く為のネタ作りは自分しかできない、
ということです。

そしてビジネスキャリアの表現も、
単に異動歴や昇進歴、所有資格を記載しても
その内側にある汗をかいた行動は伝わらない。

その当時は現在と同じ、各企業はバブル崩壊後の引き締めで、労働不況全盛、
少ない求人数に多くの応募書類は殺到する時代でした。
何のインパクトもない職務経歴書は、
面接まで至らず、書類選考で残念な結果になる確率が高い。

書類選考突破のためには、
自分のキャリアの素材を総動員して、
企業の求人内容ごとにメニュー・料理法を変え、
如何に自分が御社の求人にフィット感があるかを、
端的に表現する必要がある訳です。

そして
働き甲斐や生き甲斐を意識して書類を書くことは
職務経歴書に働くことに前向きな印象を与え、絶妙な味付けをするのです。


私は内心ドキドキで、噛み付いた受講者のところに向かいました。
どうみても50代半ばから後半の年代。私よりひと回りは上に見えました。


「おっしゃることはごもっともで、生活する為に皆さん働いています」
「前職はどのようなお仕事をされていたのですか?」と私。

「繊維メーカーの営業ですわ」と受講生。

「そうですか。20代、30代の時はさぞかし忙しかったでしょうねぇ」

「そりゃ、寝る間もなく走り回ってましたわ」

「会社に対してたくさん働かせやがって、と思ってたんですね」

「そんな気持ちもなかったわけではないけれど、
 それよりも他社に負けるなと結果を出す為に必死でしたわ」

「そのときは生活の為はもちろんですが、自社製品の良さを必死で売り込んで、
 他社に負けまいと成果を上げることも働き甲斐の一つだったんですね」

「そういわれりゃ、そうやね、そっちの気持ちのほうが強かったかもしらんなぁ」

「私はそれが聞きたかったんです」

「さよか・・・(しばらく考えて)ほな書いてみるわ、簡単でよろしいか?」

「結構です、是非思い出してみてください」


その後、グループ(5名)内で、自分が書いた「働き甲斐」を皆さんの前で発表頂きました。
噛み付いた受講者の方は、当時の働き甲斐を身振り手振りで話しておられました。

私は演題の下で小さくガッツポーズ。
ようやく次に進めるワー、とホッとした瞬間でした。


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