田畑 浩
代表取締役
田畑 浩
 (Hiroshi Tabata)

■マネジメント力の筋トレ(7) 現実の自分自身と向き合う。 (2011/06/16)

先日、1泊2日で管理職対象の研修を行なってきました。仮にT社としておきます。
研修プログラム設計の為の事前のヒアリングでは、社長及び事業責任者曰く、
対象者は、業務スキルはしっかり持っている面々ばかりだとのこと。
ただ、将来の会社を担ってもらうためには、人間力をもっと上げていかないと、と。

要するに、直線的に成果だけを追い求めるだけではなく、
一般教養や世間の状況を自然体で理解しながら、
自部門の運営はもとより会社全体のレベルの底上げに
経営予備軍として早く加わって欲しいとのご希望が。

おっしゃっていることは心底理解できました。

私の10年ほどのコンサルティング経験の中でも、
理念と信念を持って頑張っておられる企業の経営者や幹部の方々は、
真摯な態度で何かしら人を惹きつける懐の深さがにじみ出ているものです。
そして様々な分野の方々と交流を持ったり世間の常識をしっかり理解しておられる。

逆に数字ばかり追いかけ自社の都合や知識を主張する経営者は、
その勢いと推進パワーに圧倒されることも大いにありますが、
併せてその考え方に将来への危うさを感じるときも。

震災で大変な時ですが、T社の社長は今こそ会社の将来を考え、
自社の幹部に役割に応じた価値観を深め人間的にも成長して欲しい、
との願いから研修実施を決意したのだとわかり、私も気合が入りました。

が、いざ研修プログラムに落とし込むとなると難しい・・・。
過去弊社が実施した管理職向けの様々なプログラムを紐解き、
実際にイメージしてみましたが、
「人間力」「懐の深さ」・・・というキーワードを頭に浮かべると、
もっといいカリキュラムが出来るのではないか、と考えてしまい・・・。

結局、2週間後、
私が行き着いた研修のキーワードは、
「現実の自分自身と向き合う」こと。
自分の現実を直視することから逃げない、
真摯に受け留め、何故?を深く考えるというプログラムです。

受講者は、初日の午後から深夜にかけて、
自分の行動は周囲からどのように評価されているのか?
何故そのようにみられているのか?何が自分に足りないのか?
信頼される管理職とは?
今後の期待に応えるためには、そして人間的に大きくなる為には、
明日からどのような行動を起こさなければならないか?
をじっくり考える時間をとりました。

そして私はその内容について、
表面上の演習に終らないように、
受講者一人ひとりとじっくり話し込みました。

同じ指示をしても、
「また面倒くさいことを言っている」と思われる上司と、
「あの人が言うんだからやってみよう」と思われる上司、

この違いは“人としての信頼感”に他なりません。

コーチングをはじめとする様々なコミュニケーションスキルで
部下との関係を良好に構築していくことはできますが、
ベースは、人としての信頼感。

それを磨き上げる第一歩として、「現実の自分自身と向き合う」
ことはとても大切なこと、必要な時間、だと思います。


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