田畑 浩
代表取締役
田畑 浩
 (Hiroshi Tabata)

■狙いを聞く、意図を聞く (2008/06/30)

前回でも触れたが私はスポーツ番組が大好き。大きな魅力の一つは筋書きが無いということ。選手一人一人そして監督の力量やその場の状況判断がそのまま戦況につながり、リアルに試合が展開していく面白さ。
そういったスポーツ番組には解説者がつきものだが、私は必要ないタイプの視聴者かもしれない。選手のトレーニング状況や体調、本人が発言した言葉など事実に基づいた正確な情報を根拠としたコメントであればいいが、勝手な心理状態の分析コメントや自分の過去の体験やあるべき論をさも定石のように根拠無く述べる解説者は、時として邪魔にさえなることも。
 そして試合後のインタビュー。その場を盛り上げる為に一緒に興奮して試合前や試合後の気持ちを聞いて励ますようなアナウンサーが多いが、私にとってはいつも少し物足りない。
 サッカーや相撲のような瞬時に動くスポーツは、得点シーンや勝った瞬間は体が反応して状況を詳しく覚えていない、というのは仕方が無いと思うが、野球やゴルフのようにプレイが動いたり止まったりするスポーツは、一つ一つのプレイに状況判断をして狙いや意図があるのでは、と思う。できればそれを聞いて欲しいと思うのだが贅沢だろうか?

 先日たまたまゴルフのレッスン番組を見た。江連プロが元プロ野球選手の真弓さんと自分の弟子を実際のプレイ指導をする番組。江連プロといえば、昨年の賞金女王、現在アメリカで活躍している上田桃子プロの師匠としても有名なコーチだ。
 実はレッスン番組はあまり好きではない。家の中なので真似してクラブを振って試すわけにもいかず、また誰かが打った結果に対する打ち方の技術指導が中心なので、自分の課題とは違うなぁと違和感を持ってしまう。それでもたまたまその時間帯は他に見る番組がなかったので、チャンネルを合わせた。
 他のレッスン番組と同じく、真弓さんに打たせて、その後技術指導をすると思いきや、江連プロはいきなり「まず、狙いを聞かせてください、この状況をどう判断しますか?」「どういう意図で打ちますか?」と、打つ前のボールの位置を含めた状況把握と、どこを狙いそのためにどのクラブを選び、どういう打ち方をしたいのか、を質問した。真弓さんも慣れているらしく、ボールの落ちている場所の状況や、ピンまでの距離、そして使用クラブと狙いたい場所、そして打ち方をすんなり答えていた。結果はグリーンオーバー。通常のレッスン番組だとオーバーしない打ち方すぐに解説するのだが、彼は「状況把握」「狙い」「意図」「使用クラブ」「打ち方」のうちのどれに不具合があったのかを解説し、自分で打って見せた。どうも自分の弟子たちにも一打一打そういう考え方を習慣付けさせているようだ。
 なるほど・・・。結果の検証の為に、どのプロセスに不具合があったかを解説し、技術論に移っていく。こうしていくと同じミスは少なくなるだろうなと感じた。
「だいたいあのあたりにこれくらいの強さで打とう」で済ませることが多い私にとってはとても参考になった。私はその後スポーツ番組の見方も少し変わり、ゴルフ練習の方法は大きく変った。そしてスポーツだけでなく、結果を求められることには何でも当てはまることだ、とも日頃の仕事を通じて実感した。

と、格好いいことを言っていてもやっぱりスポーツ観戦は余暇。そう、リラックスの時間。狙いや意図なんて関係なくお酒を飲みながら感情だけで堪能するスポーツ観戦も捨てられない・・・やはり、この夏はビール片手にゴルフ以外のスポーツは感情中心で観戦しよう、と心に決めている。

コラムテーマ:<徒然>
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