田畑　浩コンサルタントコラム - マネジメント力の筋トレ（32）根拠のない思い込みをなくす -| PERSONAL VISION INSTITUTE |-

代表取締役
田畑　浩
　(Hiroshi Tabata)

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■マネジメント力の筋トレ（32）根拠のない思い込みをなくす　(2015/02/20)

まずは質問から。

Q．人を見る目がないと言われることがある
Q．知らず知らずのうちに、事実よりも直感に重きを置いている
Q．学歴や出身地にはこだわる
Q．メールや電話では、相手と認識が生じることが多い
Q．一度嫌な思いをすると、再度そのことにチャレンジできない
Q．人と会った時、第一印象と話したのちの印象と大きく違うことが多い
Q．苦手な人、苦手なことが多々ある

如何でしたか？「YES」がいくつありましたでしょうか？
3つ以上ある方は根拠のない思い込みが大きい人と言ってもいいでしょう。

「理系だから数字には強い」
「新人時代は仕事覚えが早かったから、彼は今でも優秀だ」
「髪の毛を染めた人は仕事が適当だ」

一回あった出来事で、全てがそうだと思ってしまう、
周りの人がみんな言っているから、そうだと信じてしまう、
実際に出会った人がそういう人だったから
同じカテゴリーの人もそうに違いない、
と思い込んでしまう。

そんな思い込みが、
ビジネスにおいて大きな判断ミスや
経営状況を左右することにつながることも
時として起こります。

数年前、ある会社の組織診断を依頼され、
まずは各部門長へのヒアリングを行った時のことです。

当該者の皆さんに、
入社の経緯から現在に至るまでの担当業務のお話や
会社の状況、創出した成果やその要因、現部門の課題等を
丁寧にお聞きしました。

その際の企画部長Ａさんへのインタビュー内容が
典型的な「思い込み」の事例として
印象に残っています。

入社数年後商品企画担当をしていた時に
Ａさんが企画した商品が大ヒットしたそうです。

何故それを企画しようと思ったのか、
どういう流れで形にしていったのか等、
その商品を作った際の明確な理由や根拠、
そのプロセスを入念にヒアリングしていきました。が、
「何となく」
「おそらくこんな感じで、、、」
「あまり記憶がないんですが」
Ａさんから明確な答えはありませんでした。

言わばバットを振ったら当たった、
というようなヒットだったようです。

しかし、その時の利益貢献が、会社の上層部の目に留まり、
周囲の人たちも、「商品企画はＡさんに任せれば大丈夫」。
そして若くして企画部長になったのでした。

ただ、前述したとおり、
Ａさんに勝ちパターンはなかったので
その後、ヒット商品は一度たりとも出せなかった。
ただ周囲は、大きな成功を収めたＡさんなので、
「今回は環境が悪かった」
「タイミングが悪かっただけ」等
Ａさんの企画力の無さを要因に挙げる人は
ほとんどいなかったようです。

Ａさんは本当に辛そうでした。
自分が自分の実力を一番理解していたようです。

会社全体の根拠のない思い込みが、
業績不振を招くことに直結しました。

ちなみに、その会社は業績不振で
新しい資本家に買われたばかり。
弊社への組織診断の依頼主は新しい資本家からでした。

さて、そんな思い込みを排除するにはどうしたらいいか。
① なぜこんな結論を自分は出したのか、自分に問い掛けてみる。
根拠、理由が明確でない時は、思い込みがないか確かめる。
② 事実を見ていく。数字や出来事、誰が見ても同じ、が重要。
③ 「たぶん」「だいたい」などの曖昧はなくした「報連相」を徹底する。

基本的なことばかりですが、
組織全体の思い込みによる大きな過ちを防ぐためにも
励行してみてください。

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コラムテーマ：＜マネジメント力の“筋トレ”＞