田畑 浩
代表取締役
田畑 浩
 (Hiroshi Tabata)

■キャリアも仮説・実行・検証・修正? (2009/12/11)

現在、月2回のペースで人事担当者の方々と勉強会を行っています。
今週のテーマは「評価について」。
そこでたずねてみたところ、参加10数社中8割程度が目標管理制度的なことを導入されているという結果でした。

目標管理制度はご存知の通り、期首に目標を設定し、
期末にできたかできなかったか、どこまでできたか、
という結果を確認するもの。

もともとはマネジメントツールでしたが、
現在は評価の基準のひとつにしている企業が多いようです。

ということは、ビジネスに関わる多くの方々は、
目標設定と実行・結果の検証、そして次期への目標設定、というサイクルは
お馴染みである、ということがいえるでしょう。

ところが、キャリアセミナーを実施していると面白い現象が。
仕事のプランは立てられるのに、こと自分のキャリアのプランは?
というと、即答できず「?」という方々が結構多いのです。


過去、このような事例がありました。

ある地方で、とある会社の支店が閉鎖されることになりました。

その中で私がキャリア相談に乗った2名の女性。
Aさんは地元国立大を出てその会社に就職、バリバリ仕事をこなし常に成績はトップクラス。Bさんは地元の高校を卒業し先生の推薦でその会社に入り、事務職を無難にこなしている。
両方とも30歳を過ぎたばかりの独身。

支店閉鎖が決まったとき、大きく狼狽したのは、なんとAさんのほうでした。

Aさんは、それこそ半期毎に出される目標達成に向かって、会社の業績は悪いことは知っていたものの、自分の数字獲得最優先で動いて世の中や会社全体に興味を示しませんでした。

Bさんも期待された役割はきっちりこなしていましたが、持ち前の世話好きが買われ、労働組合の手伝いもしていました。Bさんは会社と労組とのやり取りで、数年前から支店の存続が議題に上がっていることを知り、自分自身のキャリアを見つめなおしながら仮説をたて、日々業務に励んでいました。

2名の相談内容は全く違いました。
Aさん「私この先どうしたらいいのでしょう?」
Bさん「この業界は将来も大変だと思うので同業の転職ではなく、今までの貯金と退職金で、介護系の学校に行き3年後に公的機関に勤めたいのですが、この選択は間違ってますか?」

Aさんには、自分自身のキャリアを見つめなおすツールを進呈してアドバイスを、
Bさんには、決断したプロセスを聞いて、「頑張れ!」と背中を押しました。


そもそも仕事の計画は、会社・部門の目標のブレークダウン中心。
自ら計画を立てているつもりでも、会社というフレームの中で上司と話し合って立てている訳です。
これに対して、自分のキャリアを考えるのは自分自身。
「異常事態」に直面して初めて、という方が多いのだと思います。

仕事をしっかりしていれば、キャリアは後からついてくるので、わざわざ考えなくても、という方もおられるでしょう。
しかし、人生の「異常事態」はいつ何時起こるかわからないもの。そんなときにも軸足を持って判断できる状態の自分がいる、ということは何より大きな財産です。

短いサイクル・小さな目標でいいので、キャリアの仮説を立て、
無理のない程度でいいので実行していくこと。
経済不況が続く現在には、自律したビジネスマンにとって必要な行動だと思います。


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