田畑 浩
代表取締役
田畑 浩
 (Hiroshi Tabata)

■型破りのコーチング (2017/08/24)

表題「型破りのコーチング」は、書籍名。
金井壽宏神戸大学大学院経営学研究科教授と、
昨年10月に惜しまれながらこの世を去ったラグビー界の巨星、
平尾誠二氏の対談をまとめた新書のタイトルです。

前回、適性検査をうまく利用することで、
個性が違う一人ひとりのコミュニケーションに
役立つお話をさせて頂きました。
この本は、そういった話も含め、部下への指導の仕方に関して、
様々な観点からのヒントが満載です。

実は、私はこのお二人とは少なからず接点があり、
常日頃から注目していた方々です。

金井教授とは前職で人事面のアドバイスを頂戴したり、
金井ゼミの院生の研究論文題材用のインタビューに協力したり。
さらに行きつけの散髪屋さんが同じで(笑)

平尾誠二氏とは、行きつけのBARが同じで、
席が隣になった時はハイボールを飲みながら、
彼の「コーチング」の持論を聞かせてもらってました。

実はこの書籍を手に入れた当初は、
知っている二人が対談しているから、取りあえず買っておこう、
といった感じでした。。。
改めて読み返してみると、実戦と理論が絡み合い
リーダー、指導する側にとってとても興味深い内容ばかり。
もっと早く真剣に読んでいたら、と後悔しています。

今回ご紹介したい内容は、平尾氏のコーチングに対する考え方です。

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世間の多くは「コーチング」は指導する側の戦略論や教え方、
つまり発信機側の性能を高めればよいコーチができる、と言っている。

自分の経験だと、受ける側がうまく動かない、成長しない場合は、
受信側の性能、つまり理解力や消化力に問題がある場合が圧倒的に多い。

ですからコーチングのポイントは指導を受ける側、受信側の性能をいかに高めるか。
コーチングの主体はあくまでコーチングを受ける側。

では、どうすれば相手の受信機の性能が高まるのか?
答えは簡単、それはこちら側(指導側)の受信機の性能を高めること。

それにはまず指導者が相手の話をよく聞くこと。
相手がこの人はきちんと話を聞いてくれる、と思えば、
いろいろ話してくれるようになる。その話を流さずに聞いて、
少しでもこちらが言いたい部分にかすったと思ったら、
「いい話だ、もう少し聞かせてくれないか?」
「いいところに気が付いた、じゃあこの場合はどうだ?」
と敏感に反応してそこに相手の興味を集中させる。

興味が持てれば、こちらの話に自然と耳を傾けるようになり、
受信機の性能があがる、ということです。

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頼りない部下、スキルの低い部下の話を聞くのは面倒くさい、
ついつい途中で遮って結論やべき論を言ってしまったりしますよね。

平尾氏は、金井教授と某学会のパネラーで一緒だった時、
対談のメモを取り続けている金井教授に対して、一切メモを取らなかったそうです。
後で、金井教授がその理由を聞くと、
「スポーツの現場では机もメモもない。だから集中して聞くだけです」
と即答したとのこと。

「よく聞く」「流さず聞く」「敏感に反応して興味を集中させる」。

受信力が低い部下に、粘り強く実行してみて下さい。


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