田畑 浩
代表取締役
田畑 浩
 (Hiroshi Tabata)

■マネジメント力の筋トレ(31)変えるべきことを引き出す (2014/12/12)

当社のクライアントは、
老舗の代表格ともいわれる百貨店を除くと、
昭和時代の後半以降に創業した企業で、現在の経営者が創業者、
がほとんど。

ところがこの2,3年、
創業100年以上を超えるいわゆる老舗企業への
コンサルティングや研修のお手伝いをする機会が増えました。

企業の歴史の長い・短いは、
当社のビジネスに直接的には影響しないのですが、
老舗企業の特徴を掴んでおくことは必要かも、と思い
「老舗」について少し調べてみました。


帝国データバンク著の「百年続く企業の条件」の、
100年以上続く企業800社以上のアンケート結果が興味深く。

(1)老舗企業として大事なことを漢字一文字で。
 1位「信」 2位「誠」 3位「継」 4位「心」 5位「真」

(2)社風を漢字一文字で。
 1位「和」 2位「信」 3位「誠」 4位「真」 5位「心」

私はこの結果を見て大いに納得しました(笑)

社内に限らず、取引先や地域に対しても
信頼や誠実さを大切にしてきたからこそ、
何年も続いている、ということなのでしょう。

その一方で。
(1)大事なこと漢字一文字で、の結果で、
7位に「変」と「新」が入っていること。さらに、
(2)社風を漢字一文字で、の6位に「進」が入っているのも納得です。

前に進む姿勢、変革し続ける姿勢があったからこそ、
時代に飲み込まれずに生き残れた、と言ってもいいでしょう。


さらに老舗12社を取材し、なぜ生き残ってこれたか、
という実例もこの本には載っていました。
ほぼ全員の経営者が異口同音に、
「うちの会社は今でも変化しているから老舗企業という感じはしない」
「うちの会社の歴史は、革新の連続ですよ」と、述べているとのこと。

組織として和や信を大切にしつつも、事業は変革を続けている、
ということなんですね。

また、
野中郁次郎先生が監修した「日本の持続的成長企業」という書籍でも
長寿・優良企業の組織能力として、
「実行・変革力」「ビジョン共有力」「知の創出力」
が備わっている、と表現されています。

そして、逆の例も載っていました。
2000年代に入って倒産した老舗企業の組織文化として、
「問題先送りの志向」「現状維持の志向」があったそうです。

なるほど。。。ビジネス活動を通じて薄々は感じていましたが、
組織文化を背負う社員やマネジメント職の志向そのものが、
企業継続に影響を与えることが少なからず、
いや大いにあるってことだ、と妙に納得しました。

「このままでいいのか、という不安は感じるけど危機的状況でもないのでしばらくはこのやり方を続けさせるか。」
「今までと全く違った仕事の進め方を提案してくる部下は面倒くさいなぁ。」
「もっと効率的にやりたいけど、それには他部門を巻き込まないといけないので、今回は止めておくか」

経験を重ねるにつれ、それが邪魔をして、
ビジネス活動の場面、場面で心にブレーキが掛かってしまう、
ということも少なからずあると思います。

ただ、このブレーキの積み重ねが、
企業の危機の呼び水になることもご理解ください。

いきなりの大きな行動変革はさすがに腰が引けると思いますが、
まずは部下に対しての働きかけ方を変えてみるだけでも
組織の活性化、変化対応につながっていきます。

「今までとゴールは変わらないが、現状と全く違うやり方を考えて見て」
「明日はこのチームの会議だけど、色々な意見を聞きたいから、
一人でも二人でもいいから他部門の関係者に参加を呼び掛けておいて」
「お客様の変化を感じることがあったらいつでも声を掛けて」

そして働きかけるだけでなく、
その結果を受け留める準備、自分へのルールも大切です。

(1)聞く耳を持ち、聞く時間を持ち、客観的に受け留めるマインドを持つこと
(2)前例や未経験を理由に提案を却下しないこと
(3)次のアクションに必ずつなげること

こういうマネジメント職の方々が増えれば、
老舗に限らず企業は持続的成長すると思います。

まずは気になる部下を呼んで、是非、働きかけてみてください。


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
Copyrightc 2014 PERSONAL VISION INSTITUTE CO.,LTD. All Rights Reserved.
このコラムの全部または一部を(株)パーソナルヴィジョン研究所の事前承諾なく、
いかなる形式・媒体にも複写掲載することを禁じます。

コラムテーマ:<マネジメント力の“筋トレ”>
 バックナンバーも是非ご覧下さい □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
日頃のコミュニケーション不足を挽回する4月(2019/04/12) <新卒採用>
つぶされない会社の作り方(2019/01/25) <マネジメント力の“筋トレ”>
菅野投手に学ぶ(2018/12/03) <マネジメント力の“筋トレ”>
組織の破壊行動の逆を行く(2018/07/23) <マネジメント力の“筋トレ”>
崖っぷちのホワイトカラー(2018/04/18) <マネジメント力の“筋トレ”>
フィードバックは型(1)(2018/02/08) <マネジメント力の“筋トレ”>
叱り方の教科書(3)(2018/01/19) <マネジメント力の“筋トレ”>
叱り方の教科書(2)(2018/01/18) <マネジメント力の“筋トレ”>
叱り方の教科書(2017/10/13) <マネジメント力の“筋トレ”>
型破りのコーチング(2017/08/24) <マネジメント力の“筋トレ”>
適性検査をコミュニケーションツールに有効活用(2017/08/10) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(43)上位者が心がけるべきこと(2016/11/04) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(42)アンガ―マネジメントと管理職研修-2(2016/08/18) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(41)アンガ―マネジメントと管理職研修-1(2016/05/23) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(40)アンガ―マネジメント的、上手な怒り方(2016/03/31) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(39)アンガ―マネジメントD/自分の怒りの傾向(2016/02/05) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(38)アンガ―マネジメントC/怒りは第二次感情(2015/12/11) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(37)アンガ―マネジメントB/行動のコントロール(2015/10/23) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(36)アンガ―マネジメントA/怒りの温度を計る(2015/09/14) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(35)怒りをコントロールする(2015/07/24) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ 番外編 「物理的環境で印象は変わる」(2015/06/08) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(33)番外編 日本人としての教養・見識を身につけよう(2015/04/17) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(32)根拠のない思い込みをなくす(2015/02/20) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(31)変えるべきことを引き出す(2014/12/12) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(30) 無意識の行動要因を自覚する(2014/10/31) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(29) 忙しい病の管理職から抜け出すD(2014/09/12) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(28) 忙しい病の管理職から抜け出すC(2014/07/18) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(27) 忙しい病の管理職から抜け出すB(2014/06/05) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(26) 忙しい病の管理職から抜け出すA(2014/04/14) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(25) 忙しい病の管理職から抜け出す@(2014/02/24) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(24) 手書き力を磨く。(2014/01/14) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(23) 伝わり方を意識する。(2013/11/28) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(22) 自分の何を真似て欲しいか。(2013/09/21) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(21) 若者の価値観を受け留める。(2013/08/02) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(20) 何故?の繰り返し方を考える。(2013/05/24) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(19) 自己肯定、他人肯定。(2013/04/05) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(18) 会議を減らす。(2013/02/22) <マネジメント力の“筋トレ”>
こだわりの価値観を一つだけ外す(2013/01/18) <キャリア開発>
マネジメント力の筋トレ(17) 即決即断のクセ付け。(2012/11/30) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(16) 禁止行為を作る。(2012/10/18) <マネジメント力の“筋トレ”>
後輩の職務経歴書(2012/08/27) <キャリア開発>
マネジメント力の筋トレ(15) 自分のビジネスマナーを見直す(2012/07/06) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(14) ルーティンを作る。(2012/05/25) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(13) 新入社員の活力を継続させる。(2012/04/05) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(12) 禁止語を作る。(2012/02/15) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(11) 想像力を働かせる。(2012/01/06) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(10) 言い訳をする。(2011/11/08) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(9) 真の厳しさを理解する。(2011/09/26) <マネジメント力の“筋トレ”>
積極的な自己分析力こそが危機回避能力を育てる(2011/08/04) <徒然>
マネジメント力の筋トレ(8) 志を定期点検する。(2011/08/01) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(7) 現実の自分自身と向き合う。(2011/06/16) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(6) やり続けるものを作る。(2011/05/06) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(5) 自社の常識を疑う。(2011/03/25) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(4) 様々な現象を置き換えてみる。(2011/02/01) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(3) チームメンバーの行動を興味を持って観察すること(2010/12/02) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(2) 全体を俯瞰する癖をつけること。(2010/10/22) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(1) ミッションを強く深く意識すること。(2010/09/09) <マネジメント力の“筋トレ”>
キャリアの進化(2010/07/09) <キャリア開発>
マネジメントのコミュニケーション(2010/06/20) <人材育成>
適性と配置、人材育成(2010/05/28) <人材育成>
色彩センスのロジックと人材育成(2010/05/13) <徒然>
ゴールからの逆算(2010/04/23) <人材育成>
期待をかける(2010/04/02) <人材育成>
規制があるほど個性が生まれる(2010/03/12) <人材育成>
キャリアの過信(2010/02/19) <キャリア開発>
働きがいある会社(2010/01/30) <人材育成>
経営戦略における組織・人事の考え方(2010/01/21) <徒然>
『実感』でキャリアアップ(2010/01/07) <キャリア開発>
キャリアも仮説・実行・検証・修正?(2009/12/11) <キャリア開発>
研修実施の前に(2009/11/20) <人材育成>
マネジメント職に求めるもの(2009/10/29) <人材育成>
上海で学んだこと(2009/10/29) <徒然>
あるべき姿(2009/10/08) <人材育成>
キャリア開発(6)(2009/09/10) <キャリア開発>
キャリア開発(5)(2009/08/28) <キャリア開発>
キャリア開発(4)(2009/08/12) <キャリア開発>
キャリア開発(3)(2009/07/23) <キャリア開発>
人材育成(2009/07/07) <人材育成>
キャリア開発(2)(2009/06/16) <キャリア開発>
キャリア開発(1)(2009/05/25) <キャリア開発>
健全なライバル関係(2009/05/07) <徒然>
新人研修(2009/04/28) <人材育成>
記憶力と成果の関係は?(2009/02/18) <徒然>
たった一人が流れを変える(2009/01/08) <徒然>
石川遼プロに学べ、大人たち(2008/11/03) <徒然>
狙いを聞く、意図を聞く(2008/06/30) <徒然>
ファンは感じている(2008/05/12) <徒然>
賢い表現に潜む落とし穴(2008/04/04) <徒然>
上田 現氏を偲ぶ(2008/03/13) <徒然>
創業精神を伝えること(2008/03/11) <徒然>
初心に帰る大掃除(2007/12/28) <徒然>
キャリアを考える時、創り上げるとき(2007/08/14) <徒然>
変わらなければならないもの、変えてはならないもの(2007/05/29) <徒然>
目標の精度(2005/01/04) <徒然>
経営理念・ビジョンの大切さ(2004/12/25) <徒然>
ビジネスマンの仕事の仕方(2003/06/30) <徒然>
面接官の判断基準とは(2003/03/03) <徒然>
ビジネス競争力って何?その1(2003/01/25) <徒然>
人事施策の印象と効果・・・人事担当者の気配り(2002/11/25) <徒然>
サービスの視点(2002/09/30) <徒然>
職務経歴書の有効活用(2002/09/22) <徒然>
経営戦略の伝え方(2002/08/10) <徒然>
誉め殺しの効用(2002/07/07) <徒然>
ポジショニングの整理(2002/06/29) <徒然>
ワールドカップに想う(2002/06/04) <徒然>
期待と評価をオープンに(2002/05/25) <徒然>
経営トップとスタッフ(2002/05/18) <徒然>
挨拶と企業姿勢(2002/05/06) <徒然>
Copyright © 2024 Personal Vision Institute co.,ltd. All Rights Reserved.