代表取締役
田畑 浩
(Hiroshi Tabata)
■コラムテーマ別
+
新卒採用(1)
+
人材育成(11)
+
徒然(31)
+
マネジメント力の“筋トレ”(53)
+
キャリア開発(12)
■上海で学んだこと (2009/10/29)
ブログでも少し触れたが、9月の5連休シルバーウィーク中に上海に仕事で出張。
仕事で海外なんて実に10数年ぶり。上海も前職で出張したのが確か15年ほど前。
緊張気味に、いま話題の中国のハブ空港である浦東国際空港に降り立った。
日本の旧ハブ空港候補の関西国際空港からの出発だったが、規模がまるで違う印象。
じっくり見学したかったのだが、お迎えの車に乗ってすぐに上海市内へ。
今回の目的はサービス研修。
上海発のアウトドアブランドの初出店に際し、販売スタッフに日本流のサービス研修をして欲しいとの依頼によって実現したもの。
恥ずかしながら、我々は日本語しか出来ず通訳を介しての実施になるので、非常に不安に思いながらの受諾であった。
まず、上海のサービス事情の視察から。
先方の要望で上海一売上のある百貨店をはじめ日系の百貨店、有名スポーツ量販店等を回り、
消費者として各店舗を視察した。
一店舗毎の評価は別にして、全体的にお客様に目を向ける販売スタッフが少ない、
というより、接客サービスが必要だと感じているスタッフが非常に少ない、
ということを理解するのに、1時間も掛からなかった。
ひょっとするとお客様も接客を必要と感じてないのでは?と、
とても不安になってきて、通訳の方に恐る恐る聞いてみた。
通訳の方は先方の生産部長、ブランド責任者で副総経理の方もご一緒していた。
特に生産部長は日本に住んでいたことがお有りだとのこと。
お二人とも迷わず「接客サービスは必要です」とのお答え。
出張の目的を再確認でき正直ホッとした。
上海にはそれこそ全世界の様々なブランドが入ってきており、
ブランド力、商品力に加え、接客サービスが必ず、競争力の一つになってくる、ということであろう。
翌朝、研修場所であるクライアントの上海市郊外の工場に向かった。
研修生は5名、すべて20歳を過ぎたばかり。
西安という内陸部から汽車で10時間以上掛けて来たとのこと。
実はこのブランドの第一号店は西安の有名百貨店、大富裕層がよく利用するらしい。
百貨店の入店研修を数日間受けたとのことで、一応マナーらしきものは身に付いている。
習ったマナーの中には日本で言う古いお作法的なものもあったが、基礎を知らないよりはマシ。
我々は、一貫してお客様の立場だったら、と前提で研修生に考えさせ、「笑顔」「挨拶」「発語」等をその意味の理解を促しそして実践練習を行った。
ここまでは、日本で実施する研修と全く同じなんだが、どうもその雰囲気というかムードが日本でやるのとちょっと違った。
実は、いいほうに違ったのだ。
それは受講生の姿勢。
“笑顔の必要性、効用”の解説をした後、受講生に“理解できますか?”と問うと、
「はい理解できます。私がお客様でお買い物をするとき笑顔で迎えてくれたので親近感が沸き気持ちよくお買い物ができました」
「はい。私も販売スタッフ笑顔にあるお店のほうが入りやすい気がします」
「はい」だけでなく、自分の意見をしっかり5名全員が述べた。
もしこれが日本人だったら「理解できますか?」「はい」・・・「では次ぎ」というやりとりがほとんどだったであろう。
さらに驚いたのは接客のロールプレイ。
5名いたので、一人が販売スタッフ役、一人がお客様、残りの3名が観察者。
全員が全てを体験しようと、まず一組目がスタート。
10分ほど行った後、「さあどうだった?」と皆で意見交換。
そして2組目。
お客様はあなたで販売スタッフはあなた、と指名したところ、
「カップルでお客様になってもいいですか?」と受講生たち。
なるほど。アウトドア商品はカップル客も多いはず。「ではそれでやりましょう」
接客シーンで、販売スタッフ役の受講生が、自分のものを買おうとしている女性客ばかり接客していたため、終了後、男性役の受講生から「たとえ彼女のものでも、もう少し自分にも意見を聞いて欲しかった」とフィードバック。
カップル客の接客のコツを自分たちで体感。
さらに次は、1名の販売スタッフにお客様が2組入ってきた場合をやりたい等、お店がオープンすれば絶対に起こる状況を、受講生自ら申し出てロールプレイを進めていった。
日本だったら、講師が進める通りに進行し、そして終了・・・だっただろう。
研修のための研修ではなく、実践に必ず役立たせるための研修と、受講生たちは考えていた。
運営する側としても彼らの姿勢に教えられた気がした。
そして研修終了後。
私が日本から持参した袋詰めのキャンディを受講生全員にお土産として手渡すと、皆大喜び。
さらに日本から来た私達と一人ずつピースサインで写真撮影・・・みんな自分のデジタルカメラを持って・・・あれだけ課題意識のある受講生も、このときばかりは普通の若者だった。
“ホッとした”のと同時に充実感のある海外出張だった。
コラムテーマ:<徒然>
◎
バックナンバーも是非ご覧下さい □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
日頃のコミュニケーション不足を挽回する4月(2019/04/12) <新卒採用>
つぶされない会社の作り方(2019/01/25) <マネジメント力の“筋トレ”>
菅野投手に学ぶ(2018/12/03) <マネジメント力の“筋トレ”>
組織の破壊行動の逆を行く(2018/07/23) <マネジメント力の“筋トレ”>
崖っぷちのホワイトカラー(2018/04/18) <マネジメント力の“筋トレ”>
フィードバックは型(1)(2018/02/08) <マネジメント力の“筋トレ”>
叱り方の教科書(3)(2018/01/19) <マネジメント力の“筋トレ”>
叱り方の教科書(2)(2018/01/18) <マネジメント力の“筋トレ”>
叱り方の教科書(2017/10/13) <マネジメント力の“筋トレ”>
型破りのコーチング(2017/08/24) <マネジメント力の“筋トレ”>
適性検査をコミュニケーションツールに有効活用(2017/08/10) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(43)上位者が心がけるべきこと(2016/11/04) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(42)アンガ―マネジメントと管理職研修-2(2016/08/18) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(41)アンガ―マネジメントと管理職研修-1(2016/05/23) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(40)アンガ―マネジメント的、上手な怒り方(2016/03/31) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(39)アンガ―マネジメントD/自分の怒りの傾向(2016/02/05) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(38)アンガ―マネジメントC/怒りは第二次感情(2015/12/11) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(37)アンガ―マネジメントB/行動のコントロール(2015/10/23) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(36)アンガ―マネジメントA/怒りの温度を計る(2015/09/14) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(35)怒りをコントロールする(2015/07/24) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ 番外編 「物理的環境で印象は変わる」(2015/06/08) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(33)番外編 日本人としての教養・見識を身につけよう(2015/04/17) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(32)根拠のない思い込みをなくす(2015/02/20) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(31)変えるべきことを引き出す(2014/12/12) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(30) 無意識の行動要因を自覚する(2014/10/31) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(29) 忙しい病の管理職から抜け出すD(2014/09/12) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(28) 忙しい病の管理職から抜け出すC(2014/07/18) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(27) 忙しい病の管理職から抜け出すB(2014/06/05) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(26) 忙しい病の管理職から抜け出すA(2014/04/14) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(25) 忙しい病の管理職から抜け出す@(2014/02/24) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(24) 手書き力を磨く。(2014/01/14) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(23) 伝わり方を意識する。(2013/11/28) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(22) 自分の何を真似て欲しいか。(2013/09/21) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(21) 若者の価値観を受け留める。(2013/08/02) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(20) 何故?の繰り返し方を考える。(2013/05/24) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(19) 自己肯定、他人肯定。(2013/04/05) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(18) 会議を減らす。(2013/02/22) <マネジメント力の“筋トレ”>
こだわりの価値観を一つだけ外す(2013/01/18) <キャリア開発>
マネジメント力の筋トレ(17) 即決即断のクセ付け。(2012/11/30) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(16) 禁止行為を作る。(2012/10/18) <マネジメント力の“筋トレ”>
後輩の職務経歴書(2012/08/27) <キャリア開発>
マネジメント力の筋トレ(15) 自分のビジネスマナーを見直す(2012/07/06) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(14) ルーティンを作る。(2012/05/25) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(13) 新入社員の活力を継続させる。(2012/04/05) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(12) 禁止語を作る。(2012/02/15) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(11) 想像力を働かせる。(2012/01/06) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(10) 言い訳をする。(2011/11/08) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(9) 真の厳しさを理解する。(2011/09/26) <マネジメント力の“筋トレ”>
積極的な自己分析力こそが危機回避能力を育てる(2011/08/04) <徒然>
マネジメント力の筋トレ(8) 志を定期点検する。(2011/08/01) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(7) 現実の自分自身と向き合う。(2011/06/16) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(6) やり続けるものを作る。(2011/05/06) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(5) 自社の常識を疑う。(2011/03/25) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(4) 様々な現象を置き換えてみる。(2011/02/01) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(3) チームメンバーの行動を興味を持って観察すること(2010/12/02) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(2) 全体を俯瞰する癖をつけること。(2010/10/22) <マネジメント力の“筋トレ”>
マネジメント力の筋トレ(1) ミッションを強く深く意識すること。(2010/09/09) <マネジメント力の“筋トレ”>
キャリアの進化(2010/07/09) <キャリア開発>
マネジメントのコミュニケーション(2010/06/20) <人材育成>
適性と配置、人材育成(2010/05/28) <人材育成>
色彩センスのロジックと人材育成(2010/05/13) <徒然>
ゴールからの逆算(2010/04/23) <人材育成>
期待をかける(2010/04/02) <人材育成>
規制があるほど個性が生まれる(2010/03/12) <人材育成>
キャリアの過信(2010/02/19) <キャリア開発>
働きがいある会社(2010/01/30) <人材育成>
経営戦略における組織・人事の考え方(2010/01/21) <徒然>
『実感』でキャリアアップ(2010/01/07) <キャリア開発>
キャリアも仮説・実行・検証・修正?(2009/12/11) <キャリア開発>
研修実施の前に(2009/11/20) <人材育成>
マネジメント職に求めるもの(2009/10/29) <人材育成>
上海で学んだこと(2009/10/29) <徒然>
あるべき姿(2009/10/08) <人材育成>
キャリア開発(6)(2009/09/10) <キャリア開発>
キャリア開発(5)(2009/08/28) <キャリア開発>
キャリア開発(4)(2009/08/12) <キャリア開発>
キャリア開発(3)(2009/07/23) <キャリア開発>
人材育成(2009/07/07) <人材育成>
キャリア開発(2)(2009/06/16) <キャリア開発>
キャリア開発(1)(2009/05/25) <キャリア開発>
健全なライバル関係(2009/05/07) <徒然>
新人研修(2009/04/28) <人材育成>
記憶力と成果の関係は?(2009/02/18) <徒然>
たった一人が流れを変える(2009/01/08) <徒然>
石川遼プロに学べ、大人たち(2008/11/03) <徒然>
狙いを聞く、意図を聞く(2008/06/30) <徒然>
ファンは感じている(2008/05/12) <徒然>
賢い表現に潜む落とし穴(2008/04/04) <徒然>
上田 現氏を偲ぶ(2008/03/13) <徒然>
創業精神を伝えること(2008/03/11) <徒然>
初心に帰る大掃除(2007/12/28) <徒然>
キャリアを考える時、創り上げるとき(2007/08/14) <徒然>
変わらなければならないもの、変えてはならないもの(2007/05/29) <徒然>
目標の精度(2005/01/04) <徒然>
経営理念・ビジョンの大切さ(2004/12/25) <徒然>
ビジネスマンの仕事の仕方(2003/06/30) <徒然>
面接官の判断基準とは(2003/03/03) <徒然>
ビジネス競争力って何?その1(2003/01/25) <徒然>
人事施策の印象と効果・・・人事担当者の気配り(2002/11/25) <徒然>
サービスの視点(2002/09/30) <徒然>
職務経歴書の有効活用(2002/09/22) <徒然>
経営戦略の伝え方(2002/08/10) <徒然>
誉め殺しの効用(2002/07/07) <徒然>
ポジショニングの整理(2002/06/29) <徒然>
ワールドカップに想う(2002/06/04) <徒然>
期待と評価をオープンに(2002/05/25) <徒然>
経営トップとスタッフ(2002/05/18) <徒然>
挨拶と企業姿勢(2002/05/06) <徒然>
Copyright © 2025 Personal Vision Institute co.,ltd. All Rights Reserved.