高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■「なぜ」よりも「何が」 (2010/06/20)

私にも経験がありますが
提出書類に沿って面接を進めると
どうしてもそこに書かれてある
取組課題(テーマ)と結果(成果)を
追いかけることだけで一杯になるときがあります。

提出書類とは
応募者が「話したい内容」を「話したい順番」に書いたもの。
そう考えると
それをただ、なぞるような面接は
いわば「アウェイ」で試合をするようなもの。

こちらが
「聞きたい内容」を「聞きたい順番」に質問しなければ
「ホーム」の面接とはいえない。

どうも相手ペースで面接が進んでいるな、と感じたとき
また相手の話が見えなくなりかけたとき
私がよく使うのは
「そもそもこの当時、あなたの組織や会社の
何が一番の問題だったのですか?」という質問。

人が誰かに指示されたこと以外
「自律的」に何かに取組むのはそこに必ず「問題意識」があるから。
だとすれば、自らの「問題意識」をきちんと説明できない人は
いくらもっともらしい課題と成果を語ったとしても
それが本人の「自律的」行動に基づいたものか怪しい。
私はそう判断しています。

面接官に「問題(意識)」を問われて
@ いくつも問題を列挙する人
(→問題の優先順位がついていない)
A いきなり問題の要因・状況を説明する人
(→問題の本質を追求していない)
B どこか他人事で問題を客観的に語る人
(→問題が“自分ごと”になっていない)
このようなタイプの人は多弁なわりに
肝心の「問題意識」が弱い傾向にあるようです。

逆に、問題意識の強い人が語る自社・自組織の問題は
とてもシンプル。
「売上(が悪いこと)です」
「顧客満足(の低さ)です」などその多くは一言です。
そしてその問題と自ら掲げる課題(テーマ)設定が
「骨太に真っ直ぐ」結び付いており
私のような社外の人間にも極めて理解しやすい。

「何が」問題なのか分かるから「なぜ」といえる。

面接に限らず
とかく最近は「なぜ」を語る人にスポットライトが当たりがち。
(上記でいうとAのタイプ)

物事の原因を「なぜ」と分析・検証することはもちろん必要です。
でもその「なぜ」の前に
「何が」起きているかを正しく理解しそれを組織内で共有する。
当たり前のようですが
それを当たり前にできる人は「なぜ」をいえる人より少ない。

応募者の問題意識にきちんとフォーカスし
見極めることがとても大切だと思います。

最後にお聞きします!
皆さんの組織や会社で今何が一番の問題ですか?
(次回に続く)


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