高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■まとまりなくべらべら話してもらえたら (2013/08/23)

面接官は面接「される」ことが苦手。

これ、勝手な自論なんですが
なので、私の場合
「大したことないなぁ、この人」と思われていないかと
いつもびくびくしながら応募者と対面します。

だからといって
「大したことないって思ってます?」と聞くわけにもいかず
正直、その勇気もありません。

ただ、間接的にそれを推し量る方法が自分なりにあって
今日はそんなお話です。

質問が終わると同時に
「ハイ、お疲れさまでした」とあっさり面接を終了する人もいますが
私はできるだけ
面接の感想などを聞く「間」を置くようにしています。

その「間」が応募者の本音、つまり私の面接に対する評価が聞ける
重要な機会なので、たとえ15分の面接でも
極力、その時間を捻出します。

話は変わりますが、とある大学の先生のブログに
ヒアリング協力者がヒアリング終了後に見せる反応について
書かれたものがあり、とても興味深く読みました。

先生いわく
「こういう感想が相手から聞けたときは、興味深いヒアリングができたとき」。
これが、私の経験とドンピシャ重なります。

私も
「こういう感想が応募者から聞けたときは、今日の面接の出来は悪くなかった」
と判断しています。

その感想とは次の3つ。
1.すみません、まとまりなく、べらべら、話してしまって
2.すみません、変な話、いたしまして・・・
3.こんな話で良かったですか?
以下、先生の言葉も借りながら私なりの解釈を述べたいと思います。

1の「すみません、まとまりなく、べらべら、話してしまって」は
応募者が、あまり緊張せず、話せた場合に聞かれる感想。
そういう緊張感を解き、「まとまりなく、べらべら」となるぐらいに
リラックスした状況、自然体な状況がつくれたという表れだと思っています。

さすがにこの年になると
学生さんにとっては自分の親みたいな面接官が目の前にいるわけで
緊張するなというほうが無理な話。

それでも
「相手をリスペクトする気持ちを持つこと」
⇒たとえ、自分の子供くらいの年齢の人であっても。

「相手に興味を持つこと、話を興味深く聞くこと」
⇒いつも、すべての人や話に興味が持てるわけではありませんが、どこか部分的にでも
興味を持てる箇所を探す。

こうしたことを心がけ、相手の緊張を解くようにしています。

逆にいうと、緊張がピンと張り詰めた状況で
「まとまりのある、体系化された」ことをいくらヒアリングしても
応募者の特徴が私にはまったく見えてこない。
目の前で、原稿を棒読みさせるような面接は×だと思っています。

よく、話をコンパクトにまとめられるかどうかで
地頭の良さが分かるといった主旨の話をよく聞きますが
個人的には疑問が残ります。

よしんばそうであっても、地頭の良さだけに特化するのではなく
広く大きく個人の特徴をとらえることを優先する。
そのために「まとまりなく、べらべら」話してもらうほうが良い。
私はそう考えます。

先生いわく
「まとまりなく、べらべらと語られたものを、意味づけ、秩序だけ、体系立てていくのは、研究者

が果たすべき役割なのです。」
ここでいう研究者を面接官に置きかえると
私のやり方もまんざら間違っていないと自信が持てます。

続いて2、3に移りたいのですが、長くなってしまったので
今回はここまでに。
(次回に続く)


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