高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■志を語り継ぐ (2017/08/10)

今日は、ある会社の「求める人物像」を紹介したいと思います。

1. 既存の枠組みにとらわれない創造力を持つ人。
2. 言われて動くのではなく自分から動く人。
3. 困難に目を背けずチャレンジする人。
4. 現状に満足せず自分のハードルを高める人。
5. 一度取り組んだことは中途半端に投げ出さずにやりきる人。
6. 自分のやりたいことに周りを巻き込み、協働する人。
7. 長期的な視点を持つ人。
8. 信念を持って正々堂々と行動する人。
9. 常に相手のことを考える人、いつも周囲に気を配る人。
10. 自分と異なる考えを受入れ、そこから新たな発想をする人。

実際、この会社の幹部が昭和26年に記したものは
もっと厳めしい表現なのですが
私が柔らかく書き換えました。

ただ、表現は変わってもその本質は普遍的。
落ち込んだ時、行き詰った時
これを読み返すのが私の習慣になっています。

話は変わって
仕事柄、色々な会社・立場の方とご一緒しますが
一番うれしいのは、その方に「志」があること。

自社の課題を「こうしたい!」
採用について「こんな人を採りたい!」と語る
熱のある人とお会いすると
こちらも自ずと“力”が入ります。

逆に、一番がっかりするのは「志」が感じられないこと。

「上からヤレと言われまして…」
「いい人がいれば採用しますけど…」と語る
“平熱”の人とお会いすると
思わず“力”が抜けてしまいます(笑)

先の求める人物像に私が惹かれるのは
この会社にとって大切な「志」が、当時の熱とともに
ビンビン伝わってくるから。

自分たち会社の「志」を熱く語る、語り続ける。
それは
この会社にとっても、皆さんの会社にとっても
採用においても、教育においても
また
これが記された昭和26年も、今日、平成28年も
変わらず大切なことだと思います。

個人的に一つ残念なことがあるとすると
この求める人物像を「鬼十則」として定めた
電通、吉田英雄さんの真意が
今日、平成28年に正しく伝わらなかったこと。

鬼十則の5(原文)にはこうあります。
「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…」

これが例の事件
新人の自殺を招いた企業体質の象徴だと
鬼十則は来年の社員手帳から消えるそうです。

真相を知らずにコメントする立場にはありませんが
「今の会社でいうと、鬼十則の言わんとするのは
こういう意味だよ」と語りかける人が
たった一人でも、当人の周りにいたんだろうか?
ふと、そう考えてしまいます。

自分たち会社の「志」を語るというのは
遺された言葉を記録として伝承する、ということではなく
一人ひとりに響くよう、直に語りかけること。
本質は曲げず、時代時代の言葉にして語り継ぐこと。

そして、その語り手の先頭に立つべき人が
採用担当者、面接官だと私は思います。


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