高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■選ばなかった理由 (2010/04/09)

「圧迫面接」
面接官なら誰しも気になる言葉です。

「あなたは当社に向いていませんね!」
初対面でそんなこと言われたら
「こちらからお断りです!」
私ならさっさと席を立ちます。

果たしてこんな面接官が実在するのか
本当のところは分かりませんが
面接に不向きなフレーズがあることは確かです。

例えばその一つ
「どうして○○しなかったんですか?」

Aを選んだ人に
「どうしてBにしなかったんですか?」と
質問するのは
どうも相手を「否定」しているように聞こえますから。

だから
「皆さん、このフレーズ使わないようにしましょう!」と
言いたいところですが、私は結構使います。

応募者の行動場面の中でも
私がとりわけ注目するのは
応募者が「判断」をする場面。

「判断」し「意思決定」する。
そこに時間をかけて丁寧に聞けば
個人の特徴がかなり明確に表れる。
私はそう思っています。

「そう判断するため事前に集めた資料・情報は?」
「そう判断した理由、基準は?」
この二つの質問で特徴が理解できるなら
それでよし。

ただし
これだけではボンヤリした相手の「輪郭」しか
見えないことが多い。

そこでこの質問を加えます。
「その判断以外、別の判断(選択肢)はなかったんですか?」
「なぜその選択肢を選ばなかったんですか?」

私の経験上
「コレ」を選んだ理由は曖昧にしか答えられない人も
「アレ」を選ばなかった理由は明確に答えられる。

食べ物でも同じですよね。
好物の「なぜ、どこが好きか」を聞かれても返事に困るが
苦手なものの「なぜ、どこが嫌いか」は即答できる。
これと似ている気がします。

この場合大切なのは
質問にこちらの「意思」を加えないことです。
先にも述べたとおり
「どうしてアレを選ばなかった?」という問いに
否定の意思が含まれた瞬間
応募者の口は固く閉ざされてしまいます。

あくまでも純粋に
「あなたのこと何も知らないので教えてくださいませんか?」
というトーンで聞くこと。
くれぐれも応募者を「圧迫」しないようご注意を!
(次回に続く)


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