高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■個人としての動機 (2014/01/24)

前回に引き続き、今回も「おもてなし」の達人たちの話しから
始めたいと思います。

「お客様のためにそこまでやるの!」
ビックリするような逸話をいくつも聞かせていただきました。
その姿は実に柔軟で
規制にとらわれない自由な発想に満ち溢れています。

ただ、そうした話しを聞けばきくほど
柔軟さ自由さとは、まったく間逆の固い意思
自らを強く律する志向が達人たちに共通することに気付きました。

「お客様のために自分はどう在りたいのか」
「自分はなぜ働くのか、なぜここに居るのか」

年齢や性別、性格も異なる達人たちではありますが
各自がこうした確固たる軸を備えている。
相手のためにはどこまでも柔軟で自由だけど
それを実践する自分は1ミリもブレない。
そんな印象です。

話しは変わりますが
最近、研修で色々な会社にお邪魔すると
集合時間を守らない、講義中に電話で離席する
離席はしないまでも俯いてスマホをいじっている人と
数多く遭遇します。

目に余って注意する。
注意すると今度は一気にお行儀がよくなる。
そんなアラフォーが増えている気がします。

講師が甘いのか厳しいのかによって「柔軟に」態度を変える。
そこには己の軸など微塵もありません(笑)

「お前のつまらない講義よりも、この電話の方が大切だ!」
注意されても態度を変えない、気骨ある人はいらっしゃいません。

ブレない軸があってこその柔軟さ。
ただ上っ面で、相手と調子を合わせたり
状況に順応する器用さを柔軟と取り違えてはいけない。

かつて面接でお会いした方のなかにも
器用だけど、柔軟さに欠ける方がたくさんいらっしゃいました。

「方針だから、上が言うから、査定に響くから…ヤル」
もちろんそれを否定するつもりはありませんが
そこに自らの思いがどれほど在るのか。

面接で、個人の思いを質問で引き出さなければいけないケース
個人としての動機が見えにくい方は
その後の行動・成果がいくら伴っていても「器用な人」という
評価に止まることが多いように思います。

講師が厳しいからヤル。
人が言うからヤル。
そんな子供じみた動機でいい大人が右往左往するのは
とても滑稽で、また淋しくもあります。

つい先日、成人式帰りの晴れ着姿の人たちを横目に
研修会場に向かう道すがら
「オトナってなんやろ?」ふと考え、未だ答えが出ない。
そんなコドモな私が偉そうには言えませんが。
(次回に続く)


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
Copyrightc 2014 PERSONAL VISION INSTITUTE CO.,LTD. All Rights Reserved.
このコラムの全部または一部を(株)パーソナルヴィジョン研究所の事前承諾なく、
いかなる形式・媒体にも複写掲載することを禁じます。


コラムテーマ:<面接官のトーク術>
 バックナンバーも是非ご覧下さい □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
角がとれる前(2020/03/13) <面接官のトーク術>
天然から養殖へ(2020/01/06) <面接官のトーク術>
面接中のメモ(2019/11/01) <面接官のトーク術>
思いやり(2019/10/04) <面接官のトーク術>
「心」に働きかける(2019/07/19) <面接官のトーク術>
空機を読む力(2019/02/22) <面接官のトーク術>
良い「型」(2018/12/14) <面接官のトーク術>
お節介で言い出しっぺ(2018/09/10) <面接官のトーク術>
統制と自由を問う(2018/07/24) <面接官のトーク術>
逆風が人を育てる(2018/07/06) <面接官のトーク術>
型破りと形無し(2018/02/26) <面接官のトーク術>
二つの“きく”(2018/01/19) <面接官のトーク術>
地道に、愚直に、丹念に(2018/01/18) <面接官のトーク術>
“志望動機”って聞く意味あるの?(2017/10/13) <面接官のトーク術>
高評価な人と、そうでない人の差(2017/08/24) <面接官のトーク術>
志を語り継ぐ(2017/08/10) <面接官のトーク術>
天使のように大胆に、悪魔のように細心に(2017/04/28) <面接官のトーク術>
当たり前のことを当たり前に(2016/08/29) <面接官のトーク術>
自分から素顔を見せる(2016/06/03) <面接官のトーク術>
引き算の面接(2016/04/12) <面接官のトーク術>
リクルーターとアセッサー(2016/02/19) <面接官のトーク術>
面接官の提案力(2016/01/12) <面接官のトーク術>
スーパースターばかりが必要か(2015/11/12) <面接官のトーク術>
“辞めない”面接(2015/09/28) <面接官のトーク術>
感情を引き出す(2015/08/10) <面接官のトーク術>
誇れるものがないという人(2015/06/29) <面接官のトーク術>
本当の独自性(2015/05/01) <面接官のトーク術>
VSOP人材論(2015/03/13) <面接官のトーク術>
てまひまかけて(2015/01/09) <面接官のトーク術>
相手の時間を大切にする(2014/11/14) <面接官のトーク術>
一人二役(2014/09/26) <面接官のトーク術>
行動チェックリスト(2014/08/01) <面接官のトーク術>
問題提起の輪を広げられる人(2014/06/16) <面接官のトーク術>
ブレーキではなくアクセルが踏める人(2014/04/25) <面接官のトーク術>
物語に惑わされるな(2014/03/07) <面接官のトーク術>
個人としての動機(2014/01/24) <面接官のトーク術>
「見る」ではなく「観る」(2013/12/16) <面接官のトーク術>
“野暮”をしつこく(2013/10/04) <面接官のトーク術>
まとまりなくべらべら話してもらえたら(2013/08/23) <面接官のトーク術>
ベテランあるある(2013/06/07) <面接官のトーク術>
失敗から得た糧(2013/04/22) <面接官のトーク術>
ストーリーをつなげる(2013/03/08) <面接官のトーク術>
ワクワクさせられるか(2013/01/25) <面接官のトーク術>
「無難」からは「無難」しか生まれない(2012/12/13) <面接官のトーク術>
絶対評価と相対評価(2012/11/02) <面接官のトーク術>
グループディスカッションの弊害(2012/09/07) <面接官のトーク術>
見る力(2012/07/23) <面接官のトーク術>
時間軸に沿って(2012/06/08) <面接官のトーク術>
脱線を楽しむ余裕(2012/04/16) <面接官のトーク術>
学生だけの責任か(2012/03/01) <面接官のトーク術>
面接官も管理職も 根っこは同じ(2012/01/19) <面接官のトーク術>
一つ上の目線で(2011/11/21) <面接官のトーク術>
教えてくださいという 姿勢(2011/10/05) <面接官のトーク術>
応募者に見出しをつける(2011/07/01) <面接官のトーク術>
もし面接官がドラッカーを読んだら(2011/05/16) <面接官のトーク術>
面接官には不向きなタイプ(2011/04/07) <面接官のトーク術>
基本中の基本(2011/02/14) <面接官のトーク術>
自らの仮説を疑う(2010/12/21) <面接官のトーク術>
腹落ちを問う(2010/11/04) <面接官のトーク術>
似顔絵描きであれ(2010/09/27) <面接官のトーク術>
バイアスの悲劇(2010/08/10) <面接官のトーク術>
成長の転機(2010/07/16) <面接官のトーク術>
「なぜ」よりも「何が」(2010/06/20) <面接官のトーク術>
イメージすることの大切さ(2010/06/04) <面接官のトーク術>
聞く技術(2010/05/12) <面接官のトーク術>
選ばなかった理由(2010/04/09) <面接官のトーク術>
社員の共感(2010/03/19) <面接官のトーク術>
尊敬より共感(2010/02/25) <面接官のトーク術>
話の腰を折る(2010/02/04) <面接官のトーク術>
距離を縮め、いつ切り込むか(2010/01/15) <面接官のトーク術>
「書く」のではなく「描く」(2009/12/17) <面接官のトーク術>
表情と話の長さ(2009/11/26) <面接官のトーク術>
山と谷に着目する(2009/11/07) <面接官のトーク術>
素人にもわかるように(2009/10/16) <面接官のトーク術>
意図のある人の面接(2009/09/27) <面接官のトーク術>
WHYを中心に(2009/06/25) <面接官のトーク術>
WHYをどこに集中させるか(2009/06/02) <面接官のトーク術>
WHY・WHAT・HOW(2009/05/11) <面接官のトーク術>
興味・関心を質問に(2009/04/14) <面接官のトーク術>
Copyright © 2024 Personal Vision Institute co.,ltd. All Rights Reserved.