高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■当たり前のことを当たり前に (2016/08/29)

「当たり前のことを当たり前にやる」
自省の意味も込めて、この大切さを最近よく考えます。

結局、人事の仕事って
「当たり前のことを当たり前にやる」人を採用し
「当たり前にやれる」ように教育し
「当たり前にやったかどうか」を評価する。
これに尽きると思ったりします。

今、人事(評価)制度づくりのお手伝いを
いくつかやらせていただいていますが
最初にやるのは、この「当たり前」を具体化すること。

例えば
「管理職なら、どんな行動をして、どんな成果を出すのが当たり前か」
話し合って、一つひとつ評価項目に落とし込んでいく。

ここで大切なことは
人によって当たり前の基準が違うので、その目線を揃えること。

高過ぎず、低すぎず
管理職なら、一般社員なら
1等級なら、2等級なら
「どんな行動をして、どんな成果を出すのが当たり前か」
社長が、役員が、人事が
日頃思っていることを話し合い、合意形成する。
この過程をとても大切にしています。

さて本題、面接に話を戻して。
仮に新人を1等級とするなら、新卒採用の応募者は0等級。
皆さんの会社では、新卒の採用基準を
入社後の1等級につながる、その前段にある0等級として
とらえていますか?
0等級が「どんな行動をして、どんな成果を出すのが当たり前か」を
具体化していますか?

多くの会社が新人、1等級に求めるものは
・社会人としてのマナーや会社のルールを守る
・元気よく挨拶、返事できる
・報告、連絡、相談する
・指示されたことをミスなく実行する
おおよそこの辺りではないでしょうか。

だとしたら、0等級(入社前)にこれ以上を求めるのは無理がある。

「問題を多面的に分析し、自律的に行動して、壁があっても乗り越え
周りをリードしながら解決し、成果に結びつけたうえで…」

間違っても、こんなレベルを応募者に求めてはいけません。
間違って、こんな人が入社したとしても
周りのレベルに愕然として辞めてしまいます(笑)

たとえ応募者の当たり前のレベルが今は高くなくても
それを継続する力があるか。私ならここをしっかり評価します。

ある調べによると
“人の資質の中で、(入社後)変わりにくいもの”の一つに
「粘り強さ」が挙げられていました。

Q「“歯磨き”などの生活習慣以外に、習慣化されたものはありますか?」
Q「やろうと決めて、長くやり続けていることはありますか?」
こんな質問で良いと思います。

大切なことは、その内容やレベルではなく
やろうと決める「意思」とそれをやり続けられる「粘り強さ」。
こうした経験をどれだけたくさんしているか。

経験が多ければ多いほど、それが「達成感」につながり
当たり前のレベルが少しずつ上がっていく。
自分を振り返っても、この繰り返しだった気がします。

「当たり前のことを当たり前にやる」
“歯磨き”以外、皆さんにはいくつ習慣がありますか?

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