高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■応募者に見出しをつける (2011/07/01)

「Yahoo」などニュース系のサイトでは
見出しがユーザーの行動に大きな影響を
与えるそうです。

ある会社のユーザー行動観察調査によると
流し読みの際にユーザーに認識されるのは
冒頭の15文字程度とのこと。

一見、面接とは無関係そうですが
私にはとても「深イイ」話しに思えます。

以前、このコラムで
応募者の特徴を掴むことの難しさ、大切さ
それを「似顔絵を描く」(2010/09/27)と表現したことが
ありました。

今日はそれをもう一歩進めて
応募者の特徴を一言で表現すること
つまり
その人にピッタリな「見出し」を
つけることをお勧めしたいと思います。

自戒も込めていうと
普段、応募者に対して
「何を言っているのか分からない」
「ボキャブラリーに乏しい」など
偉そうに言う割には
表現力に優れた面接官って
案外少ない気がします(笑)。

では、どうやってその表現力を鍛えるのか?
その最も良い方法が
この「見出し」をつけることではないかと。
これ、私も実践しています。

あくまでも「見出し」なので
長くなってはダメ。

そして最も大切なことは
その応募者と会ったことが無い人でも
「リアルにイメージできるような」
「興味が湧くような」
表現を使うこと。

とても難しいことですが
参考になるのはグルメ番組や旅番組。
カメラの向こうにいる人に
その魅力を伝える技術はさすがプロ。

そして次ぎは、自分の番。
自分が良いと思った本や映画。
その魅力を第三者に短く伝えるとしたら
どう表現するか?

映画「もののけ姫」の名コピー
「生きろ。」
これが採用されるまでには
没になった案が50近くあったとか。
でも、
そこまで真剣に対象と向き合い
表現したからこそ
たった4文字で映画の本質が伝わってくる。

対象の本質を見出す仕事という点では
糸井重里さんも私たち面接官も
同じかもしれませんね。

面接に話を戻すと
先ずは、明らかに合格の人
または、明らかに不合格と思える人。
先ずは
評価がはっきり下せる人から始めて
徐々に評価の難しい人に
見出しをつけてみる。

そして
その面接に立ち会っていない人に
見出しを使って応募者のことを表現してみる。
この繰り返しで
格段に面接(目利き)力が向上します。

逆説的にいうと
面接(目利き)力を向上させるには
面接の場数だけを踏んでもだめ。

表現力を鍛えること。
これが早道だと思います。
(次回に続く)


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