高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■もし面接官がドラッカーを読んだら (2011/05/16)

“いまさら”という感じですが
最近、ドラッカー本(とっても簡単な)に
手を伸ばしています。

パラパラと流し読みしているうち
ふと目に留まったコラム。
そこに書かれているのは
若きドラッカーが雑誌編集者だったころの話し。

上司である編集長は
仕事に大変厳しい人で部下育成にも熱心。
毎週、ドラッカーたち部下の仕事ぶりを話し合う他
年2回、彼らが半年間行った仕事について
以下の点を徹底的に検討したそうです。
@ 半年間に行った優れた仕事は何か?
A 一生懸命やった仕事は何か?
B お粗末な仕事や失敗した仕事は何か?

これらを検討した後、さらに2時間かけて
以下の点について考え、次の半年間の目標を立てる。
C 集中すべきことは何か?
D 改善すべきことは何か?
E 勉強すべきことは何か?

「以降、60年間、ドラッカーはこの6つの質問に従って
自身の目標管理を実行したという…。」
そのコラムはこう締めくくられていたのですが
これを読んで「おや?」と思いました。
この質問、面接と重なるんじゃないの?

過去半年に力を入れて取組んだこと
またその中で成果の出たことを質問する。
あるいは途中、上手くいかなかったこと
失敗談を聞いてみる。

ここまでのプロセス、着眼点は
普段私が面接で聞きたいこと、そのまんま。

また後半の3つの質問についても
面接ではこのままストレートに聞かないにしても
応募者が自らこの半年取組んできたことを
どのように振り返り
次ぎにどう活かそうとしているかを
確認するポイントとしてとても有効。

例えば
「集中すべきこと」⇒優先順位の明確化
「改善すべきこと」⇒ボトルネック(支障)の明確化
「勉強すべきこと」⇒今後必要となる知識・技術・情報の明確化など
これらの質問によって
応募者がこの先
どの方向に向かって歩こうとしているのか
果たしてその方向がクリアになっているのかが
理解できるのではないでしょうか。

こう考えると
面接というのは相手の目標管理(PDCA)を
P(仮説・計画)−D(実行)−C(検証・反省)−A(修正)
の順を追って確認する行為と置き換えても良さそうです。

@〜Bの質問で
P(仮説・計画)−D(実行)を確認し
C〜Eの質問で
C(検証・反省)−A(修正)を確認する。

この一連の確認によって
きちんとPDCAを回せている人を採用すること。
これが面接の究極の目的ではないでしょうか。
(次回に続く)


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