高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■「心」に働きかける (2019/07/19)

お久しぶりです。
しばらくこのメルマガをサボっているうちに
時代は令和に変わりました。

私事ですが、ちょうど時代の節目の4月から
大学でキャリアの授業を担当するようになり
「親子ほども年の離れた人たちと、どう関係をどう築くか?」
この難題に毎週格闘しています。

いくら授業が意味深いものだろうが
どれほどテキストを凝ろうが、学生には響かない。
それは「私にとってどうか?」という
発信側の視点なんですよね。

「彼らにとってどうか?」
この視点で授業を進めないと、みるみる集中力が落ち
あちらではスマホを見たり、こちらでは前の子の髪を触ったり。
一気にカオス状態になります(笑)

その答えを求めて読んだわけではないのですが
最近ある記事に目が留まりました。
その一部をご紹介します。

『「組織の使命を実現する」ために存在するリーダーは
そのために必要な「ビジョンや戦略」あるいは「成果とすべきこと」を
「共有」したり、「要求」したり、「追及」する。(中略)
「心」を持った人という経営資源は、上記のことばかりでは
「疲れてしまう」のである。特に、現代のように変革が常態の時代になると
変革に終わりがないことも、かつて以上に「疲れてしまう」原因になる。
だからこそ、リーダーには、働く人の「心」に働きかける行動が必要になってくる』
(月刊 人事マネジメント6月号「思いやりのリーダーシップ」河合太介氏)

続いて河合さんは、働く人の心に働きかける例として
次の7項目を挙げています。
・自分の意見に耳を傾けてもらえるんだ
・必要とされているんだ
・任せてもらえるんだ
・守ってもらえるんだ
・支えてもらえるんだ
・見てくれているんだ
・思い切り「腕」がふるえるんだ

部下がこういうことを感じるリーダーの行動こそが
心を打ち、その時はじめて
この上司に自分の本気の力を貸そうとする。

これを読んで「ほんま、そうやな」と思いました。
部下がそう思うなら、その予備軍の応募者もそう思う。
応募者がそう思うなら、さらにその予備軍の大学生もそう思う。

30分という面接で、90分という授業で
どこまで相手にそう感じてもらえるのか。
それは、とてもとても難しいことですが
上っ面な対応はすぐにメッキが剥げる。
最後は、前に立つ人の全人格
生き様がモノを言うと感じます。

とは言え、そんな人格者でも
大した生き様も示せない私としては
90分はムリでも、せめて1年、30回の授業で
彼らにそう感じてもらえるようにしたい。
今そう思っています。

面接もそうかもしれませんね。
1回30分の面接ではなく、1次から最終面接まで
内定から入社まで、そして導入研修から配属まで。
1年をかけて、しっかり関係が築ければ
途中の辞退や入社早々の退職はないはず。

さて、今日はこれから授業です。
「残業はしたくない。でも、そこそこ給料がもらえて
家族仲良く、幸せに暮らしたい」
屈託なく、未来をそう語る学生たちを前に
令和がそういう時代になることを願うばかりです。


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