高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■絶対評価と相対評価 (2012/11/02)

今回は評価方法についてお話ししたいと思います。

「A評価を2年取ったら昇格させる」
「採用テストで80点以上なら採用する」
大学入試のような評価基準、これが絶対評価。

「全体の中からAが10%、Bが30%というように
あらかじめ決まった比率で評価する」
内申書のような評価基準、これが相対評価。

何をいまさらという感じですが
さて、皆さんの会社では
どちらの方法を取っていますか?

昇給・昇格は絶対評価。
でも新卒採用の場合、それだと頭数が確保できないから
相対評価で採る。

あるいは
ウチの管理職は甘いから絶対評価させると
大変なことになるので、相対評価で縛りをかける。

こういう会社さまが多いのでは?

そうなると
相対評価というのは
絶対評価できないゆえの苦肉の策といった悪印象ですが
使い方によっては思わぬ効果をあげることも。

特に、先の例でいうと後者
評価者の目線が揃っていないケースでは
相対評価を使った考課者訓練がお勧めです。

無理やりにでも
部下をSABCDの5段階評価してもらい
A評価の○さんと、B評価の□さんでは
「何が違うのか」という根拠、基準を問い
その答えを参加者全員で議論する。

これでずいぶん目線が揃ってきます。

やれハロー考課だ、中心化傾向だと
一般論に終始した考課者訓練よりも間違いなく効果的です。

ポイントは、上司、評価者として
自分の言葉で根拠、基準を語れるかどうか。

これが語れるからこそ、部下にフィードバックできる。

絶対評価の利点でもあり、怖いところでもあるのは
評価者に根拠や基準がなくても
ルールどおり評価すれば、それらしい答えが出るところ。

それらしい答えだけど、自らに根拠や基準がないから
フィードバックできない。

少し話を広げると
コンサルを使って、評価制度をしっかり作ったのに
肝心の評価結果が今ひとつ。
高い金額払って、S○Iを導入したものの
採用した新人の顔ぶれが振るわない。

これも同じく
評価者に、もっと大胆にいうと、会社自身に
根拠や基準がないから起こる状況。

決して、絶対評価が悪いわけではありませんが
制度やツールという名の大船に身を委ねていては
評価力を失うのも道理かもしれません。

さて、現場の評価力も気になりますが
お膝元、人事部門の評価力はいかがでしょう。

新卒採用の場合
短期間に多くの応募者と会わなければいけないので
どうしても
「この人は○、この人は×」という絶対評価を
「早く、多く」下すことが求められます。

果たして、その評価の根拠、基準もきちんと語れる方が
どれほどいらっしゃるか。

少なくとも
×の応募者に対して
「ウチでは合わないが、どういう会社・環境なら合いそうか」
○であっても
「どの部署・職種なら活躍しそうか、育成面の課題は何か」

これらが語れるからこそ面接官。
「○×」の判定を下すだけの「審判」との違いは明らかです。
(次回に続く)


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