高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■距離を縮め、いつ切り込むか (2010/01/15)

前回( http://www.pvi.jp/column/takahagi/no94 )
は応募者の行動を
「書く(記録する)」と「描く(記憶する)」の違い
についてのお話でした。
もうしばらくこの話にお付き合いください。

これは面接に限りませんが
人間、書いておけば安心という気持ちがあり
文字にした瞬間から内容を忘れてしまう。
後で手帳を見て
「これ何のことだっけ?」なんてこと
私はよくあります。

さらに白状すると
目の前の応募者の名前をすぐ忘れてしまい
履歴書を何度も確認することもしばしば。
全社員の名前と顔を覚えるのが人事の仕事ならば
まちがいなく私は人事「失格」です。

ただ、名前は瞬時に忘れても
相手が面接で話した内容については
かなり記憶しているつもりです。

通常、社員の登用審査が年1回だとすると
その審査にパスできなかった人を
翌年また審査(面接)することもありうる。

去年どんなことを話したか
もちろん全てではありませんが
大半の話は鮮明に思い出すことができます。
印象に残る話ならば
5年以上前の話を覚えていることも。

忘れっぽい私にそれができるのは
やはり映像として記憶しているから。

昨日読んだ小説の一文は思い出せなくても
映画のシーンなら20年前に観たものでもリアルに思い出せる。
それと同じだと思います。

また映像で記憶することはこんなことにも役立ちます。

「去年の面接のとき、確かこんなお話されましたよね」
先の面接のケースでは、あえて去年の話しを持ち出してみる。
なぜか?
それは応募者との「距離」を縮めるため。

「さっきトイレでお会いしましたね」
初めてお会いする方なら
こんな些細な(映像?)記憶でも使える。

「この人は自分のことを覚えてくれていた(興味を持っている)」

単純なようですが、この感情が
話し手、聞き手の距離をグッと縮めます。
誰しも、自分に興味をもってくれる人には懸命に伝えたい。
すると、こちらの質問が多少拙くても伝える努力をしてくれる。

「今日は寒いですね」といった雑談で
面接の緊張感を解きほぐすことは意識できていても
「私はあなたに興味を持っていますよ!」というシグナルを
意識的に発信できる面接官は意外と少ないのでは。

私が知る限り、これが上手いのは
販売経験のある面接官。
接客の基本と重なるからでしょう。

失礼ながら
逆にこれが苦手なのがメーカー系の面接官、特に男性。
また同じ会社でも、営業よりも企画畑の人の方が下手。
「では、早速ですが最近のお仕事についてお聞かせください!」
雑談どころか、挨拶もそこそこに
いきなり本題に入るケースが見受けられます。

少し逸れますが、上司と部下の面談もこれに近い場合がある。
「で、オマエ最近どうなの?」で始まる直線的質問には
部下への興味など皆無、関係が冷えるのも当然かと。

話しを戻して
では、販売・営業出身の面接官が常に100点満点かというと
そうとも言い切れない。

もちろん全ての人に当てはまるわけではありませんが
相手との関係性を作ることに意識が強すぎて
「話が長くなる(喋りすぎて肝心の応募者の話が聞けていない)」
「質問力が弱い(応募者が話したくないことに踏み込めない)」
といった傾向があるようです。

直線的に急いでもダメ、回り道しすぎてもダメ。
面接の冒頭、応募者との関係を築きつつ
どのタイミングで深く相手に切り込むか?
私はいつも判断に迷います。

同じ時
皆さんは何を意識してどのように面接を進めていますか?
(次回に続く)


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
Copyrightc 2010 PERSONAL VISION INSTITUTE CO.,LTD. All Rights Reserved.
このコラムの全部または一部を(株)パーソナルヴィジョン研究所の事前承諾なく、
いかなる形式・媒体にも複写掲載することを禁じます。
コラムテーマ:<面接官のトーク術>
 バックナンバーも是非ご覧下さい □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
角がとれる前(2020/03/13) <面接官のトーク術>
天然から養殖へ(2020/01/06) <面接官のトーク術>
面接中のメモ(2019/11/01) <面接官のトーク術>
思いやり(2019/10/04) <面接官のトーク術>
「心」に働きかける(2019/07/19) <面接官のトーク術>
空機を読む力(2019/02/22) <面接官のトーク術>
良い「型」(2018/12/14) <面接官のトーク術>
お節介で言い出しっぺ(2018/09/10) <面接官のトーク術>
統制と自由を問う(2018/07/24) <面接官のトーク術>
逆風が人を育てる(2018/07/06) <面接官のトーク術>
型破りと形無し(2018/02/26) <面接官のトーク術>
二つの“きく”(2018/01/19) <面接官のトーク術>
地道に、愚直に、丹念に(2018/01/18) <面接官のトーク術>
“志望動機”って聞く意味あるの?(2017/10/13) <面接官のトーク術>
高評価な人と、そうでない人の差(2017/08/24) <面接官のトーク術>
志を語り継ぐ(2017/08/10) <面接官のトーク術>
天使のように大胆に、悪魔のように細心に(2017/04/28) <面接官のトーク術>
当たり前のことを当たり前に(2016/08/29) <面接官のトーク術>
自分から素顔を見せる(2016/06/03) <面接官のトーク術>
引き算の面接(2016/04/12) <面接官のトーク術>
リクルーターとアセッサー(2016/02/19) <面接官のトーク術>
面接官の提案力(2016/01/12) <面接官のトーク術>
スーパースターばかりが必要か(2015/11/12) <面接官のトーク術>
“辞めない”面接(2015/09/28) <面接官のトーク術>
感情を引き出す(2015/08/10) <面接官のトーク術>
誇れるものがないという人(2015/06/29) <面接官のトーク術>
本当の独自性(2015/05/01) <面接官のトーク術>
VSOP人材論(2015/03/13) <面接官のトーク術>
てまひまかけて(2015/01/09) <面接官のトーク術>
相手の時間を大切にする(2014/11/14) <面接官のトーク術>
一人二役(2014/09/26) <面接官のトーク術>
行動チェックリスト(2014/08/01) <面接官のトーク術>
問題提起の輪を広げられる人(2014/06/16) <面接官のトーク術>
ブレーキではなくアクセルが踏める人(2014/04/25) <面接官のトーク術>
物語に惑わされるな(2014/03/07) <面接官のトーク術>
個人としての動機(2014/01/24) <面接官のトーク術>
「見る」ではなく「観る」(2013/12/16) <面接官のトーク術>
“野暮”をしつこく(2013/10/04) <面接官のトーク術>
まとまりなくべらべら話してもらえたら(2013/08/23) <面接官のトーク術>
ベテランあるある(2013/06/07) <面接官のトーク術>
失敗から得た糧(2013/04/22) <面接官のトーク術>
ストーリーをつなげる(2013/03/08) <面接官のトーク術>
ワクワクさせられるか(2013/01/25) <面接官のトーク術>
「無難」からは「無難」しか生まれない(2012/12/13) <面接官のトーク術>
絶対評価と相対評価(2012/11/02) <面接官のトーク術>
グループディスカッションの弊害(2012/09/07) <面接官のトーク術>
見る力(2012/07/23) <面接官のトーク術>
時間軸に沿って(2012/06/08) <面接官のトーク術>
脱線を楽しむ余裕(2012/04/16) <面接官のトーク術>
学生だけの責任か(2012/03/01) <面接官のトーク術>
面接官も管理職も 根っこは同じ(2012/01/19) <面接官のトーク術>
一つ上の目線で(2011/11/21) <面接官のトーク術>
教えてくださいという 姿勢(2011/10/05) <面接官のトーク術>
応募者に見出しをつける(2011/07/01) <面接官のトーク術>
もし面接官がドラッカーを読んだら(2011/05/16) <面接官のトーク術>
面接官には不向きなタイプ(2011/04/07) <面接官のトーク術>
基本中の基本(2011/02/14) <面接官のトーク術>
自らの仮説を疑う(2010/12/21) <面接官のトーク術>
腹落ちを問う(2010/11/04) <面接官のトーク術>
似顔絵描きであれ(2010/09/27) <面接官のトーク術>
バイアスの悲劇(2010/08/10) <面接官のトーク術>
成長の転機(2010/07/16) <面接官のトーク術>
「なぜ」よりも「何が」(2010/06/20) <面接官のトーク術>
イメージすることの大切さ(2010/06/04) <面接官のトーク術>
聞く技術(2010/05/12) <面接官のトーク術>
選ばなかった理由(2010/04/09) <面接官のトーク術>
社員の共感(2010/03/19) <面接官のトーク術>
尊敬より共感(2010/02/25) <面接官のトーク術>
話の腰を折る(2010/02/04) <面接官のトーク術>
距離を縮め、いつ切り込むか(2010/01/15) <面接官のトーク術>
「書く」のではなく「描く」(2009/12/17) <面接官のトーク術>
表情と話の長さ(2009/11/26) <面接官のトーク術>
山と谷に着目する(2009/11/07) <面接官のトーク術>
素人にもわかるように(2009/10/16) <面接官のトーク術>
意図のある人の面接(2009/09/27) <面接官のトーク術>
WHYを中心に(2009/06/25) <面接官のトーク術>
WHYをどこに集中させるか(2009/06/02) <面接官のトーク術>
WHY・WHAT・HOW(2009/05/11) <面接官のトーク術>
興味・関心を質問に(2009/04/14) <面接官のトーク術>
Copyright © 2024 Personal Vision Institute co.,ltd. All Rights Reserved.