高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■基本中の基本 (2011/02/14)

日本語ならではの文法、表現が
面接を難しくしている。

まともに日本語も使えない私ですが
偉そうにそう「思います」。

例えば今使った「思う」にしても
…と私は思います。
…と思いますが。
…と思わなくもない。
というように、発言の最後、ちょっとしたことで
相手の伝えたいこと、感情が微妙に異なる。

簡単なことのようですが
この「最後」を意識している面接官
意外に少ないのではないでしょうか。

「言葉尻をとらえる」というと
一般的にあまり良い意味で使いませんが
面接の場合
それによって内容を深めることができる。

具体的には
言葉尻に表れる応募者のニュアンスを汲み取り
それを次の質問に展開する。
…と私は思います。→「他の人はそう思っていないの?」
…と思いますが。→「そう思うけど現実はそうではないの?」
…と思わなくもない。→「結局思うの、思わないの?(どっちやねん!)」

私の場合、話頭よりもむしろ言葉尻に注目しています。
と同時にそれを発する表情(特に口元)も見て
面接官として引っかかることがあれば
用意していた質問を飛ばしても
それを確認するようにしています。
同じく「応募者のニュアンスを汲み取る」
ということでは
「抽象的な副詞表現」を見逃さないことも有効です。

学生さんの面接などでよく聞こえてくる
「一生懸命、きちんと、しっかり、うまく…」
といった曖昧な表現を
そのまま素通りさせないということです。

せっかく
何(what)を「一生懸命」やったかが
分かったとしても
どのように(how)
どの程度(how much/how many/how long/how often)
「一生懸命」取組んだのかが
分からなければ適正に評価できないはず。

ここを聞かない面接官は
自分の頭のなかにあるモノサシを
そのまま応募者にあてはめてしまうようです。

私が思う一生懸命とは「毎日」やることだ
といった具合に。
(「週一回」が応募者の一生懸命かもしれないのに。)

ミスマッチを避けたい。
これは面接官も応募者もまったく同じ思い。

それを実現させるヒントは
「相手の話しは最後まで聞く」
「曖昧なことは質問する」という
面接における
基本中の基本にあるのではないでしょうか。


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