高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■失敗から得た糧 (2013/04/22)

労政時報(第3842号)にリーダーシップ開発に関する
事例が紹介されていました。

その中で、目に留まったのが日本マイクロソフト社。

リーダーの登用基準として
@ 能力
特に重視しているのが「経験から学ぶ力」。
これまでの知識や経験則にこだわらず
常に学ぶことに積極的であること。
A 意欲
リーダーには困難な道が待ち受けているが
それでもやはり自分の熱い思いのなかで
「これこそ自分がやりたいことだ」と
胸を張れる意欲を持っていること。
B コミットメント
自分と会社、双方のプライオリティを
結び付けていくこと。
が挙げられていました。

私の偏見、勝手なイメージから
外資系はもっとロジカルに選抜しているのかと思いきや
あまりのベタな視点にビックリ。

A「意欲」なんて一歩間違えれば「気合と根性」の世界。
でも、気合と根性がなければ
そもそもリーダーになる資格がないのも真実。
なるほど…と思います。

果てさて、「意欲」とは先天的なものか?
これまでお会いしてきた人を思い浮かべると
生来、意欲的、意志が強いと感じさせる人もいるにはいますが
ある機を境に「化ける」
つまり後天的にそうなった人が大半という印象。

とりわけ
大きな失敗経験を持つ人
若い頃に厳しい環境で仕事をした人
いわゆる「苦労」した人は
その経験を境に大化けする傾向が強い。

逆に、エリートコースを順調に歩んできた人
何でもそつなく器用にこなす人ほど
化けるきっかけを失って
ここ一番の場面でも妙に大人しい。

加えていうと
業界平均よりやたら給料の高い会社の人
また
上司評価の甘い組織の人も
チャレンジ精神に乏しく、リスクテイクしない気が。

インタビューしていると
そういう方々には会社は違っても共通する「ぬるさ」があって
思わずこちらもホッコリしてしまいます(笑)。

経営は社員のために、上司は部下のために
良かれと思ってやったことが
個人のキバを抜く結果になっているとしたら皮肉ですね。

話は変わって面接の場面。
失敗体験や挫折経験についての質問は定番ですが
やはり「苦労人」を探していらっしゃるんでしょうか(笑)。
皆さんはこの質問にどういう意図をお持ちですか?

拝見する限り
ピンチをどう克服したのかというプロセス(how)に
意識が集中しているように思われます。

もちろんそれはそれで重要なんですが
私なら「そこから何を糧として得たのか」についても
しっかり聞いておきたい。

壁を乗り越える話、乗り越え方よりも
壁を乗り越えた後
その壁をどう振り返っているのかに興味が惹かれます。

そこに
個人の成長の跡が見られるから。
そして
失敗から目をそむけず、それを糧にできる人には
強い意志が備わっているからです。
(次回に続く)


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