高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

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■空機を読む力 (2019/02/22)

「空気を読む」

いかにも日本語らしい表現ですが
今、新人に欠けているものとして
この「空気を読む力」がよく話題になります。

なぜ「日本語らしい」か、というと
海外では「空気を読む」よりも
自分の意見を「しっかり」相手に伝えることが重要。

つまり「空気を読む」とはその場の雰囲気(=空気)を
重視する日本特有の文化で生まれた表現だと感じます。

では、海外では「空気を読む」に相当する表現はあるのか?
英語で何というのか?
調べてみると、近いニュアンスのものが
いくつか見つかりました。

(1)「read between the lines(行間を読み取る)」
言葉で直接には示されていない、言葉と言葉の間に垣間見える
「言外の意味」を把握する、という意味。

(2)「take a hint(気を利かせる)」
ヒント(遠まわしに示される仄めかし)を推しはかる
「機転、融通をきかせる」という意味。

(3)「go with the flow(流れに従う)」
他人と同じように振る舞ったり、周囲から逸脱しないように行動したりするさま。
「流れに乗る」「流れに身を任せる」という意味。

こう並べてみると、英語の方が整理・分類されていて分かりやすい。
逆に日本は、この3つをごっちゃにしたまま
その場に相応しいものを選ぶ3択クイズを新人に出題している。

要は、新人が読めない「空気」とは
その場の状況が(1)〜(3)の何を求めているのかを察する力。
それが不足しているから、きちんと対応できなかったり
おかしな対応になったりするのではないでしょうか?

だとしたら、そこは教えてあげないといけない。
「今、あなたに求められているのは(1)だよ!」とか
これからは外国人雇用が増えてくるので
「take a hint!」とダイレクトに伝えるとか。

何も手を施さず
「ちっ、空気読めてない」と舌打ちしたところで
事態は変わりませんから。

一方、数は減ったものの、空気を読める人もいるわけで
面接でいうと
こちらの質問の真意を確実にくみ取れる(1)タイプが
それに当たります。

もちろんそれは、少し会話をすれば分かるのですが
会話をしなくてもある程度の判断がつきます。

私がよく見るのは、応募者の目線の高さと動き。
空気を読むには情報が不可欠で
効率よく情報収集するには
目線を高くして、周りを見渡す必要があります。

姿勢の悪さも手伝って
目線がずっと下がったままで動かない人は
情報収集力が弱く、空気が読めない。

逆に、緊張しつつも目線が上がっている人
面接官や他の応募者が話しているときに、そちらに顔を向ける人
目と耳を動かして情報収集しようとする人は、空気が読める。

目線が下がっているのは印象が悪い、だからNGではなく
情報収集という観点から応募者をとらえ直し、評価する。
これが面接官に求められる「空気を読む力」では?


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