高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■WHYをどこに集中させるか (2009/06/02)

前回 ⇒ http://www.pvi.jp/column/takahagi/no87
は面接における「5W1H」について
中でも「WHY・WHAT・HOW」の
重要性について触れました。

今回はこのうち
「WHY」に着目したいと思います。

突然ですが、最近こんなお菓子のCMを
ご覧になったことありませんか。


面接官「志望動機は?」
学生「御社の社風に惹かれまして」
面接官「分かったようなことをいいますね」

ナレーション「ここで○○を食べると!」

学生「志望動機なんかねえよ!自分が入るときあったのかよ!」
面接官「確かに俺も何となく入ったんだっけ」
学生「すっきりした〜!(笑)」
面接官「俺もすっきりした〜!(笑)」
-


CMで取り上げられるほど
志望動機は「WHY」質問の定番です。

皆さんも、必ず質問すると思いますが
その回答をどれくらい重視しますか?
応募者からどんな回答があれば○にしますか?

私、最近疑問に思うのです。
志望動機ってそれほど重要なのかと。

「志望動機は目の前にいらっしゃる○○さん(人事・経営者)の
姿勢にとても感動したからです!」

応募者がそう話し始めた瞬間
「よしよし苦しゅうない、近こう寄れ」とばかり
鼻の下を伸ばす面接官
とても多いように感じます。

私も人の子。
気持ちは「よーく」分かります。

でも、冷静に考えてみてください。

感動や共感、あるいはその会社の製品が好きという
「感情」と
どうしてもココで働きたいという
「動機」のつながりを
もう一歩、深堀しなくて大丈夫ですか?

多くの面接官が着眼する志望動機のポイントは
企業研究をきっちりやったかどうか。
それにこだわる理由は何ですか?

さらにいえば
志望動機を重視して、これまで採用した人たち
期待通り、入社後活躍していますか?

さらに、さらにいえば
皆さんが、今の会社に入るときに考えていた
志望動機はちゃんとしたものでしたか?

冒頭のCMではありませんが
学生時代の私の志望動機なんて
今思い出しても顔が赤らむ「お粗末」なもんです。

だからという訳ではありませんが
私は面接で「志望動機」にあまり時間を割きません。

折角、答えを用意してくれている(だろう)応募者に
「失礼」なので、一応聞きます。
しかし、よほど興味を引く回答で無い限り
さっさと、次の質問に移ります。
(その方が「失礼」という声もありますが…)

乱暴にいえば、志望動機なんて
「もっともらしい答え」がいくらでも思いつく。
特に、インターネットが普及した今の世の中
「見てきたような嘘」を瞬時に用意できる。

こんな虚実入り混じったものに
いくら「WHY」をぶつけたところで
何も見えてこない。

また、応募者に嘘をつくつもりがなくても
未だ就いていない会社や仕事のことを
「想像」しながらの「未来形」の回答には
あまりにも不確定な要素が多い。

限られた時間内で
応募者の特徴を明らかにするためには
やはり応募者が
実際に「自分の頭で考えた」こと
実際に「自分の体を動かした」こと

つまり「過去」の「思考・行動事実」に
「WHY(なぜそう考えた?そう行動した?)」の質問を
集中する必要があります。

(次回に続く)


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