高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■似顔絵描きであれ (2010/09/27)

いつも思うのですが
面接官は「似顔絵描き」みたいだなと。
とりわけ
採否の結果だけを決めてお仕舞いではなく
その結果の理由(なぜ)を
誰かと共有したり、伝える場合はなおさら。

新卒採用であれば面接官同士で話し合う場合
社内の昇格試験なら上長、あるいは本人に
結果をフィードバックする場面。
「なんとなくNGです」や
「とりあえずOKでした」では
済まないですしね。

「なぜ(理由)」を明らかにするために
目の前にいる人の特徴を掴んで表現する。
これって「似顔絵」を描くことと同じ。

出来の良い似顔絵って
対象の特徴を大きく捉えていますよね。
大きな目とか、個性的な髪形とか。
またそれを
とてもシンプルに描いているのに
それでいて誰が見てもその人だと分かる。

そんな表現力が面接官には必要なのでは。

面接後、応募者のことを色々な角度から
あれこれ評する面接官がいますが
話しが長くなればなるほど
逆に特徴が見えなくなることがあります。

髪はこうで、目はこんなで
鼻はああで、口元は…。
まるで「モンタージュ写真」みたいな表現、描き方。

そして出来上がったモンタージュ写真は
結局どこにでも居そうなありきたりな顔。

新卒採用の評価シートにある
各評価項目の点数を端から全部読み上げても
その学生の姿かたちがちっとも浮かび上がってこない。
それに似た感じです。

話しは変わりますが
こういう面接官の頭の中には
自分の質問に対する「正解」が予め用意されており
応募者がそれを「間違えずに」答えるかどうかを
確かめているような気がします。

「(この問題には普通はこう対処するだろう)あなたはどう?」
「(この状況なら普通はこう判断するだろう)あなたはどう?」
いくつもの予断を持って質問する。
それが全て悪いとは思いませんが
予断が強すぎると相手の姿を見誤るケースがあります。

頭の中を真っ白にして
目の前の人をしっかり観察すること。
そこから浮かび上がってくる
相手の最大の特徴を逃がさずしっかり掴まえる。

やはり面接って似顔絵ですよね。
(次回に続く)


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