高萩 幸男
(Yukio Takahagi)
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面接官のトーク術(79)
■バイアスの悲劇 (2010/08/10)
「面接官とは?」と尋ねられ
「常に客観的かつ公正な評価を行う人!」
胸を張ってそう答えたいところですが
私自身そう言い切れません。
早い話、人が人と相対するうえで
好き嫌いの感情が全く入らないわけがない。
開き直るわけではありませんが
評価の「バイアス(歪み・偏り)」は避けられない。
むしろ「私は常に客観的で公正」と
言い切る面接官ほど
自身のバイアスに気付かぬまま
とても偏った評価を下しているのではと思います。
例えば新卒採用なら
「外向的」なタイプは面接官にウケが良い。
これも一種のバイアスといえるでしょう。
その気持ちも分からなくもないですが
どんな職種でも外向的でさえあれば活躍すると
短絡的に考えないようにしたいですね。
またどうせなら「外向的」という漠然とした評価に留めず
・表情などの印象値
・性格に由来する社交性
・初対面の相手とのコミュニケーション力
などに「分解」して評価したほうがよい。
外向的ではないが仕事の出来る人を
見落とす面接官。
外向的でない人に「外向的であるかのように振舞いなさい」と
面接指導する学校。
バイアスによってこんな悲喜劇が毎年繰り返されています。
少し専門的になりますが
バイアスの中でも最も典型的なものの一つに
「行為者−観察者バイアス」があります。
面接官に置き換えて簡単にいうと、
応募者が何かに失敗したエピソードを語るときには
それは「努力が足りない」と応募者本人のせいにするが
自分が良い人材を見落としたときには
「面接時間が短かったから」などと環境のせいにする。
もちろん応募者にもこれは当てはまります。
失敗は(自分以外の)組織・上司や景気のせいだと説明し
逆に、成功は自分の努力の賜物と主張する。
いかがでしょう?
思い当たる節ありませんか?
こうしたバイアスの影響を避ける方法。
私にはその答えが見当たりません。
冒頭で触れましたが
面接官自身が自らのバイアスの可能性に気付き
その影響を最小限に留めるよう努力する。
それしかないのでは。
では最後にもう一つバイアスをご紹介します。
「コントロール幻想」。
例)私の巧みな面接トークで応募者は入社を決めてくれた!
(実際、応募者はもとから入社する気だった)
お互い気をつけないといけませんね!
(次回に続く)
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