高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■面接官も管理職も 根っこは同じ (2012/01/19)

今回は少し趣向を変えて、クイズ形式で。

皆さんは、キャリア採用の面接官。
そして、下記質問に対してA B C 3名の応募者から
各々回答があると想定してください。

それらを比較検討、誰が最も的確に答えているかを
理由とともにお答えください。

【質問】
「あなたなりの工夫で問題を解決したときのことを
話してください。」
―――――――――――――――――――――――――
応募者A
「新製品の販促を担当したときのことです。
私たちは製品イメージを定着させるために
好感度調査上位のタレントを起用しました。
特にそのタレントの支持層に、製品をいち早く
浸透させたかったのです。
さらに私たちはその層の顧客リストを買い入れ
何千通ものDMを送りました。
これには相応の予算を割きましたが
うまく新製品の知名度向上につながり
また全社員がこの活動を応援してくれるようにも
なりました。
結果、売上は予算を大きく上回り
おかげで私たちは社長賞をいただきました。」
―――――――――――――――――――――――――
応募者B
「以前の組織は顧客維持力が不足していました。
そこで私は後輩や関連部署のメンバーと協力して
この問題の解決に当たりました。
まず初めに私がしたのは、顧客のもとへ出向いて
話しを聞くこと。
拾った声を後輩と分析すると、一番の不満は
アフターサービスに関することだと分かりました。
そこで私は営業企画部にサービスメニューの改定を
お願いしました。
最初はあまり協力的ではありませんでしたが
私が何度も足を運ぶうち、新たなサービスメニューを
増やしてくれることになり
以降は他社に顧客を取られることがあまり無くなりました。」
―――――――――――――――――――――――――
応募者C
「私は市場の動向に常に注意を払っています。
市場でシェアを拡大するには、迅速に行動することが
重要だからです。
目まぐるしく変化する環境のなかで
他社に先駆けて消費者の関心を集められるかどうか。
TVや一般紙はもちろん、業界紙や専門誌の片隅に至るまで
市場動向を調査し、ウチが攻めるタイミングを
分析していました。
自分が手掛けたことで記憶しているのは
雑誌とテレビとの連動広告をいくつかやって
話題を集めたことが評価されました。
あと、売上がおもわしくないときに
店頭キャンペーンを何度か成功させています。」
―――――――――――――――――――――――――
問題は以上です。では、この3名の内
誰が最も“的確に答えているか”を
その理由とともにお考えください。
(誰が“優秀か”ではありませんのでお間違いのないよう。)























【答え】
応募者B「最も的確な回答:○」
【ポイント】
個人の思考・行動が明確に述べられている。
どのような行動を取ったのかを時系列に沿って
把握することができるし、本人なりの工夫の跡も
きちんと確認できる。
こうした特徴が常に発揮できるのかを確認したい場合は
さらに他の例についても説明してもらえばよい。

応募者A「的確な回答とは言えない:△」
【ポイント】
「私たち」という表現は何度も出てくるが
「私」は一度も出てこない。
チームの結束が固かったことは分かるが
その中で個人が果たした役割が見えない。
本人の役割を 聞きだし、何を考え
具体的にどう行動したのかを確認する必要がある。

応募者C「的確な回答ではない:×」
【ポイント】
そもそも質問の答えになっておらず
その内容も一般論に終始している。
先ずは本人にケース・事例を特定してもらう必要がある。
例えば後半にある広告やキャンペーンについて
その詳細を話してもらうよう促す。

いかがでしたか?お分かりになりましたか??

ちなみに
弊社ではこのようにケースを使用した
面接官トレーニングや管理職の評価者訓練を
実施しております。
評価するうえで大切な視点は面接官も管理職も
根っこは同じですもんね!
(次回に続く)


+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
Copyrightc 2014 PERSONAL VISION INSTITUTE CO.,LTD. All Rights Reserved.
このコラムの全部または一部を(株)パーソナルヴィジョン研究所の事前承諾なく、
いかなる形式・媒体にも複写掲載することを禁じます。


コラムテーマ:<面接官のトーク術>
 バックナンバーも是非ご覧下さい □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
角がとれる前(2020/03/13) <面接官のトーク術>
天然から養殖へ(2020/01/06) <面接官のトーク術>
面接中のメモ(2019/11/01) <面接官のトーク術>
思いやり(2019/10/04) <面接官のトーク術>
「心」に働きかける(2019/07/19) <面接官のトーク術>
空機を読む力(2019/02/22) <面接官のトーク術>
良い「型」(2018/12/14) <面接官のトーク術>
お節介で言い出しっぺ(2018/09/10) <面接官のトーク術>
統制と自由を問う(2018/07/24) <面接官のトーク術>
逆風が人を育てる(2018/07/06) <面接官のトーク術>
型破りと形無し(2018/02/26) <面接官のトーク術>
二つの“きく”(2018/01/19) <面接官のトーク術>
地道に、愚直に、丹念に(2018/01/18) <面接官のトーク術>
“志望動機”って聞く意味あるの?(2017/10/13) <面接官のトーク術>
高評価な人と、そうでない人の差(2017/08/24) <面接官のトーク術>
志を語り継ぐ(2017/08/10) <面接官のトーク術>
天使のように大胆に、悪魔のように細心に(2017/04/28) <面接官のトーク術>
当たり前のことを当たり前に(2016/08/29) <面接官のトーク術>
自分から素顔を見せる(2016/06/03) <面接官のトーク術>
引き算の面接(2016/04/12) <面接官のトーク術>
リクルーターとアセッサー(2016/02/19) <面接官のトーク術>
面接官の提案力(2016/01/12) <面接官のトーク術>
スーパースターばかりが必要か(2015/11/12) <面接官のトーク術>
“辞めない”面接(2015/09/28) <面接官のトーク術>
感情を引き出す(2015/08/10) <面接官のトーク術>
誇れるものがないという人(2015/06/29) <面接官のトーク術>
本当の独自性(2015/05/01) <面接官のトーク術>
VSOP人材論(2015/03/13) <面接官のトーク術>
てまひまかけて(2015/01/09) <面接官のトーク術>
相手の時間を大切にする(2014/11/14) <面接官のトーク術>
一人二役(2014/09/26) <面接官のトーク術>
行動チェックリスト(2014/08/01) <面接官のトーク術>
問題提起の輪を広げられる人(2014/06/16) <面接官のトーク術>
ブレーキではなくアクセルが踏める人(2014/04/25) <面接官のトーク術>
物語に惑わされるな(2014/03/07) <面接官のトーク術>
個人としての動機(2014/01/24) <面接官のトーク術>
「見る」ではなく「観る」(2013/12/16) <面接官のトーク術>
“野暮”をしつこく(2013/10/04) <面接官のトーク術>
まとまりなくべらべら話してもらえたら(2013/08/23) <面接官のトーク術>
ベテランあるある(2013/06/07) <面接官のトーク術>
失敗から得た糧(2013/04/22) <面接官のトーク術>
ストーリーをつなげる(2013/03/08) <面接官のトーク術>
ワクワクさせられるか(2013/01/25) <面接官のトーク術>
「無難」からは「無難」しか生まれない(2012/12/13) <面接官のトーク術>
絶対評価と相対評価(2012/11/02) <面接官のトーク術>
グループディスカッションの弊害(2012/09/07) <面接官のトーク術>
見る力(2012/07/23) <面接官のトーク術>
時間軸に沿って(2012/06/08) <面接官のトーク術>
脱線を楽しむ余裕(2012/04/16) <面接官のトーク術>
学生だけの責任か(2012/03/01) <面接官のトーク術>
面接官も管理職も 根っこは同じ(2012/01/19) <面接官のトーク術>
一つ上の目線で(2011/11/21) <面接官のトーク術>
教えてくださいという 姿勢(2011/10/05) <面接官のトーク術>
応募者に見出しをつける(2011/07/01) <面接官のトーク術>
もし面接官がドラッカーを読んだら(2011/05/16) <面接官のトーク術>
面接官には不向きなタイプ(2011/04/07) <面接官のトーク術>
基本中の基本(2011/02/14) <面接官のトーク術>
自らの仮説を疑う(2010/12/21) <面接官のトーク術>
腹落ちを問う(2010/11/04) <面接官のトーク術>
似顔絵描きであれ(2010/09/27) <面接官のトーク術>
バイアスの悲劇(2010/08/10) <面接官のトーク術>
成長の転機(2010/07/16) <面接官のトーク術>
「なぜ」よりも「何が」(2010/06/20) <面接官のトーク術>
イメージすることの大切さ(2010/06/04) <面接官のトーク術>
聞く技術(2010/05/12) <面接官のトーク術>
選ばなかった理由(2010/04/09) <面接官のトーク術>
社員の共感(2010/03/19) <面接官のトーク術>
尊敬より共感(2010/02/25) <面接官のトーク術>
話の腰を折る(2010/02/04) <面接官のトーク術>
距離を縮め、いつ切り込むか(2010/01/15) <面接官のトーク術>
「書く」のではなく「描く」(2009/12/17) <面接官のトーク術>
表情と話の長さ(2009/11/26) <面接官のトーク術>
山と谷に着目する(2009/11/07) <面接官のトーク術>
素人にもわかるように(2009/10/16) <面接官のトーク術>
意図のある人の面接(2009/09/27) <面接官のトーク術>
WHYを中心に(2009/06/25) <面接官のトーク術>
WHYをどこに集中させるか(2009/06/02) <面接官のトーク術>
WHY・WHAT・HOW(2009/05/11) <面接官のトーク術>
興味・関心を質問に(2009/04/14) <面接官のトーク術>
Copyright © 2024 Personal Vision Institute co.,ltd. All Rights Reserved.