高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■問題提起の輪を広げられる人 (2014/06/16)

前回に引き続き、グーグルの採用基準についてのお話です。

人事責任者、ラズロ・ボック氏が次に挙げる採用基準は
「リーダーシップ」。
ただし「特別なリーダーシップ」とのこと。

一般的にリーダーシップというと
組織の長になった経験や肩書に目が行きがちですが
グーグルでは「それは気にしない」
「問題に直面した時に、チームの一員として適切なタイミングで
足を踏み入れてリードできるかに重点を置く」
ボック氏はこう語ります。

私なりに解釈すると
何の問題もない「平和」なときではなく
「エライこっちゃ」の一大事に何をする人なのか。
それも
「組織の長だからやらなきゃ」じゃなく
いちメンバーとして、何をどこまでやる人なのかを
問いたいということなんでしょう。

そう言われれば…
確かに、平和なときの話は私もあまり深く質問しません。

本音を言うと、平和、平時の話は面白くないから(笑)。
もっともらしい理由を付けるなら
平時、いわゆる業績好調なときは
業績に対する個人の貢献は極めて小さいから。
その人が頑張ったから業績に繋がったと言い切れないから。

商品・サービスで勝っているか、仕組みで勝っているか。
要は、稼げる基盤がしっかりしているうちは
個人があくせく働かなくても
流れに乗っていれば儲かるようになっている。

逆に、個人の力量、貢献がはっきりするのはその基盤が揺らいだとき。
有事に、傾いた神輿から、どれだけ早く降りて
何をするのか、が個人の真価。

そしてその第一歩は
「ウチの会社・組織は何かおかしい!」と声を上げる問題意識だと
私は思います。

「あなたの組織の今の問題は何ですか?」

面接で、目の前の人から「エライこっちゃ」な一大事を
引き出すための鉄板の質問ですが
問題意識の低い人からは
拍子抜けするくらい「平和」な答えが返ってきます。

個人的な印象ですが
こういう方々が揚げる問題はなぜか教育系が多い。
ベテランならば「骨のある若手がいない、育っていない」。
(そういうあなたは人を育てているの?)
若手なら「尊敬できる先輩がいない、スキルアップしたい」。
(ここは学校じゃないよ!)

まるでニワトリとタマゴが互いの悪口を言い合っているようで
こういう話が聞こえる度に
「あくせく働かなくても儲かっている良い会社なんだなぁ」と
心の声を押し殺すしかありません。

グーグル、ボック氏の発言に再び戻すと
「最終目標は、みんなで一緒に問題を解決するために
何ができるかということ」とも語っています。

「エライこっちゃ」と独り相撲を取ることが
リーダーシップだと言っているわけではありません。
ただ
「ウチ、ココがまずいよね」っていう問題提起の輪
「だから、ココから直そうよ」っていう問題改善の輪を
周りにどれだけ広げていけるか。

シンプルにそれが問われている気がします。
(次回に続く)


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