高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■逆風が人を育てる (2018/07/06)

今、ある工事会社さまの
人事制度づくりをお手伝いしています。

その一環で、現場の責任者の方にヒアリングしていると
ポツリ、こんなことを。

「若手の成長に欠かせないのは経験を積むこと
それも失敗経験をどれほどしたかで、その後の伸びが違う
だから、もっと失敗させたい…」

入社早々は仕事を覚えるために
イレギュラーの少ない現場を担当するそうですが
曰く「そういう経験はいくら積んでも、身にならない」

朝、現場に着いたら
想定外の状況でどうしたら良いか分からない。
でも、今日中に工事を終えないといけない。
やっとのことで工事を始めると住民からクレームが来る。
あせる、あせって失敗する。
この経験が身になるそうです。

「どこも同じやなぁ」
話を聞きながら、この会社さまに限らず
人が成長する環境に違いはないと思いました。

「想定外の状況」「答えが見えない」
「意見の衝突(上の例ではクレーム)」そして「失敗」
いつの世も「逆風」が人を成長へと導くんですね。

一気に話しは変わってプロ野球。シーズン半ばとなり、
贔屓チームの勝敗に一喜一憂している方も多いのでは。

ど素人がエラそうですが
期待に反して、結果が残せない若手に
ある共通点を感じます。

それは合同自主トレをした選手。

球団のキャンプに入る前は
自主トレをするのが通例ですが
それを主力選手と若手が一緒に
最近は、チームの壁を越えて一緒に汗を流すケースも。

さぞかし活躍するだろうと期待するのですが
ニュースで名前を目にするのは合同自主トレ中だけ。
本番でその期待に応える若手がなかなか見当たりません。

ひょっとすると
冒頭の工事会社、我々と同じく
プロの野球選手にとっても
成長には「逆風」が必要なのかも。

用意された練習メニューもなく、ただ一人。
慣れない自主トレで、どうしたら良いか分からない。
でも開幕までに体を作って、何としても一軍に残りたい。
あせる、あせって失敗する、試行錯誤する。
この経験が身になるとしたら…。

一見、主力選手というお手本を間直に練習した方が
身になると思うのですが、現実は違うようです。

さて、みなさんの会社に入って間もないルーキーは
ちゃんと失敗していますか?
面接では、ちゃんと失敗した人かどうか確かめていますか?

「経験不足」による失敗は「身になる」ちゃんとした失敗。
「準備不足」による失敗は「身にならない」ただの失敗。
そして
ちゃんと失敗した人を採らないのは「身を滅ぼす」失敗。

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