高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■興味・関心を質問に (2009/04/14)

本職の面接官ではないのですが、
いつ見ても「上手いナ」と思う人がいます。

それはNHK「プロフェッショナル・仕事の流儀」の茂木健一郎さん。

実をいうと、あの番組を見ながら
いつも私、面接(アセスメント)の練習をしています。

ゲストを迎えて、茂木さんが色々な質問を投げかける。
その瞬間、「もし自分が茂木さんなら?」と
同じように質問を考えてみる。

調子の良い時は、だいたい同じ主旨の質問が続くので
「ふむふむ」と自己満足。
でも、大半は「なるほど」そう聞けばいいのかと自己反省。

では、茂木さんのどこに惹かれるのか
私なりに思うところを書いてみます。



先ずはその「姿勢」。

「私は何も知らないので、教えてください!」
という姿勢が番組を通して一貫している。

確かに、職人や技術者のように
自分の専門外のゲストであれば自然とそうなるのも頷けますが
茂木さんの専門領域に限りなく近いゲストであっても
その姿勢が崩れない。

またそれが、みえみえのヨイショ
卑屈な態度というわけでもない。

「なぜ空は青いの?」と
子供が好奇心に目を輝かせて質問するあの感じ。



「面接官に最も大切な資質とは?」もし聞かれたら
応募者に対する「興味・関心」だと答えます。



企業にお邪魔して面接をオブザーブすることが
たまにありますが
その際、往々にして見受けられるのが
面接官の「聞き飛ばし」。

もっと応募者のことを深く、
丁寧に聞かなければならないのに
表面を浅く舐めるような質問に終始してしまう。
なぜそうなってしまうのか?


「経験・スキル不足?」
確かにそれは一つの要因です。

でも、足下にあるもっと大きな問題を見落としているのでは?


面接官「どうしてこの時、転職したのですか?」
応募者「給料が低かったもので…」
面接官「なるほど。次にお聞きしたいのですが…」


隣でいつも思うのです。
「どうして給料だけで辞めたと簡単に片付けてしまうのか」と。


この応募者に真に興味・関心があるなら
「辞めた理由はそれだけですか?」と
もう一歩突っ込んだ質問ができるはず。


特に、この例(転職)に代表されるように
これまでの環境・習慣(行動)・意識(考え方)を
自らの意思で「変える」場面は
応募者の特徴が最も表れる「山場」。

「辞めた理由は?そのきっかけとなる出来事は?」
「他に理由は?」
「辞めたことを今どう思う?」…

応募者の「山場」を的確に捉え
興味・関心を質問の言葉に変える。

それが面接官としてのトーク術を磨く第一歩です。
(次回に続く)


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