高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■誇れるものがないという人 (2015/06/29)

気温の高まりとともに、いよいよ熱を帯びる新卒採用ですが
対応に困るのが
「私、人に誇れるようなものありません…」というタイプの応募者。

売り手市場の昨今、苦労して面接まで動員した人事としては
なんとか話を引き出してあげたいのですが
「(面接官)学生時代にガンバったことは?」
「(応募者)アルバイトくらいで、特に…」とうつむいてしまう。

「ガンバったこと」のエピソードは
学生の本分である学業か、体育会活動以外ダメ。

目に見えない「縛り」が新卒採用には未だあるようで
それが応募者の口を固くし、面接官の焦りを生む。
焦って「アルバイトの何をガンバった?何を!」と
迫ればせまるほど相手は委縮し、さらに黙り込む。

話は変わりますが
気温の高まりとともに、もう一つ熱を帯びるのがビール消費。
とくに、野球場で飲む一杯は格別で
見渡せばビアサーバーを担いだ女性がたくさんいます。

あのサーバー、実に15〜18kgもあるそうで
急坂を往復する姿を目にすると
ひいき選手より、応援したくなるのが男のさが。
みるみるサイフから千円札が消えていきます(笑)

その一方、彼女たちの懐はかなり充実しているようで
トップクラスになると1日、2〜3万円を稼ぐという話も。
つまり、時給換算でなんと8,000円!

東洋経済のWEB記事
『時給8000円を稼ぐ「ビール売り子」の超仕事術』に
この辺りのことが書かれていたのですが
その内容をもう少し紹介すると

@魚の目、鷹の目
彼女たちは、いくつもの目を持っている。
目の前のお客様。先ほど買ってくれた、少し離れたお客様。
そしてこれからお代わりを頼みそうな遠くのお客様。

お客様に対する目線を適宜変えている。
ビールを頼むお客様を逃さずキャッチしている。
もちろん、そのためには、試合の展開を読んだり
買ってくれたお客様を覚えていたり
ビールを飲むペースを把握していることが必要。

A自分の“しるし”=特徴を魅せろ
売り子さんがお客様を見つけていくことは大事。
しかし、それ以上に必要なことは、お客様から声をかけて頂くこと。
そのためには、「選ばれるしるし」が必要。

トップの売り子さんは、実に様々な、個性的な“しるし”を用いている。
・髪飾りに、花のモチーフや、キャラクターを付ける
・名札に、手描きのPOPやイラストを加えて、特徴づける
・首に巻くタオルを、球団カラーと合わせる、巻き方を目立たせる
と、実に様々な方法を各自でアレンジしている。
自分を覚えてもらい、また買ってもらうことを考えている。

正直、当たり障りのない学業や体育会の話より
こっちの方がよっぽど興味深くて面白い。
私なら、販売職以外(事務系)でも即採用です。

さて話を戻すと
「アルバイトくらいで、特に…」と
応募者が委縮しているようなら、それをほぐすのが面接官の役目。

「ぜひそのアルバイトの話を詳しく聞かせてください」とすぐ声をかけ
間をおかずに、話しやすいキーワードを入れて質問する。

そのキーワードとは?質問方法とは?

と、話が佳境に入ったところで恐縮ですが
長くなったので今回はこれにて終了。
(次回に続く)


※このコラムは2015/6/19発行のメールマガジンを再掲したものです。

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