高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■リクルーターとアセッサー (2016/02/19)

突然ですが
リクルーター(面接官)とアセッサー(評価者)の違い
皆さんはどうお考えになりますか?

「そんなもん、一緒ちゃうんかい!」
つい最近までそう考えていたのですが
「そんなエエ加減でどないすんねん!」
わたくし反省した次第です。

昔むかし、採用担当だったころ
求める人物像(人材要件)についてメンバー同士で話し合うと
よくこんな会話になりました。

Aさん「そりゃ、地頭の良い人でしょ!」
Bさん「いや、素直で前向きな人だ!」
Cさん「んー、空気の読める人では?」
私「では、地頭が良くて、前向きで、空気の読める人を採用しましょう!」
そして、いざ本番の面接では「元気で笑顔の良い人」を採用する(笑)。

リクルーターとアセッサーの違いを考えるどころか
イケイケ、主観(好み)で突っ走る無法時代でした。

改めて最近思うに、リクルーターとは
「今」の会社の風土に馴染み
「今」の事業をうまく回せる人を選ぶのが仕事。

なので、この仕事に就く人は
「今」の会社・事業を熟知しておかないといけない。
「今」活躍している人たちを、よーく見ないといけない。
その人たちの共通点から
自社の求める人物像をくみ取れないといけない。

求める人物像というガラスの靴を
一人ひとりの応募者に履いてもらい
サイズがピッタリの人を探し出すのがリクルーター。
主な活躍の場は、新卒採用の面接となります。

一方、アセッサーとは
「将来」の会社を担い
「将来」の事業が創造できる人を選ぶのが仕事。

なので、この仕事に就く人は
「将来」の会社・事業を想定しておかないといけない。
「将来」活躍してくれそうな人たちを、よーく探さないといけない。

「今」の延長線上に「将来」があるとは限らないので
型にはまらない「異能」を発掘するのがアセッサー。
主な活躍の場は、中途採用の面接
あるいは、既存社員から抜擢人事を決める経営会議となります。

ただ、このアセッサーという仕事の重要性を意識している人事マンが
果たしてどれほどいらっしゃるか。
多くは、社長自らアセッサーを兼務している、というのが
実情ではないでしょうか。

「○○さんが適任だと思うが、全社員をつぶさに見ているわけではないし
周りから、好みで選んだと思われはしないか…」

何れの社長様も孤独で、その悩みは深いものです。
かつての私のように
イケイケで突っ走るわけにはいきません。

さて、皆さんが社内・社外問わず、人と会い
何らか評価を下す場合

その目線は
リクルーター寄りですか?アセッサー寄りですか?
それとも、目的に応じて使い分けていますか?

社長の右腕、頼りにされる人事マンを目指すなら
ぜひ、アセッサーという仕事にも手を広げていただきたいと思います。

ただし、アセッサーが発掘すべきは「異能」。
求める人物像にかすりもしない
ガラスの靴と足型のかけ離れた「異端」ではありません。
この点お気をつけて!
(次回に続く)


※このコラムは2016/2/15発行のメールマガジンを再掲したものです。


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