高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■引き算の面接 (2016/04/12)

「まともに受け答えできない応募者が多い、最近の学生は…」
こんな“スパイシー”な面接官の声をよく耳にします。

エジプトの壁画に「最近の若い奴は…」と書いてあった。
そんな都市伝説もあるくらいですから
今に始まった話ではありませんが
仮にそうだとしても、その責任の一端は面接官にもある。
そうは考えられないでしょうか。

「まともに質問できない面接官が多い、最近の面接官は“なんちゃって”」
今度は私から“スパイシー”なお返しです(笑)

この応募者の特徴はおそらくココだから、質問すべきはココ。

私の経験でいうと
30分程度、それも集団面接なら
一人の応募者に対してフォーカスすべきテーマは一つ(多くて二つ)。

ここで求められるのは「引き算の面接」
面接官が発揮すべきは質問のテーマを「絞り込む力」。

逆に“なんちゃって面接官”が得意なのは
質問を重ねる「足し算の面接」。

Q「学生時代に一番力を入れたことは?」
Q「なるほど…、では尊敬する人は?」
Q「なるほど…、ではわが社でやってみたい仕事は?」
質問のテーマをどんどん広げていく。

一見、こちらの方が“デキる面接官”という印象で
お恥ずかしい話、私も「足し算面接」にハマる時代がありました。

当時の私は、質問を投げて、投げて、投げっぱなし。
マッサージで言うと
相手構わず、背中と言わず、腰と言わず、揉みまくる。
そんな印象です。

マッサージ同様、面接も“ツボ”が大切で
当たり前の話、それは応募者ごとに場所が違う。

“ツボ”とは応募者の特徴が最も表れるメインテーマ。
その“ツボ”を探りもせず
全員、同じ質問でよしとするのはいただけません。

とは言え
さすがに集団面接で一人ひとり質問を変えるのが無理なら
最初だけ全員共通の質問にする。そんなやり方もあります。

例えば
Q「学生時代に一番力を入れたことは?」という質問に
・「力を入れた内容」がメインテーマのAさん
・「力の入れた過程」が〃のBさん
・「力を入れた結果」が〃のCさんがいるなら
それぞれのメインテーマを掘り下げるよう、次の質問は一人ひとり変える。

別に面接官でなくても、メインテーマに関心を向ければ
それぞれ聞きたくなるのが人情だと思うのですが、いかがでしょう?

たださすがに、初対面でいきなりツボを特定するのは難しいので
慣れない方は
面接の冒頭「もしかしてツボはココ?」と仮説を持つことを意識してください。

それでも“ツボ”らしきものが見当たらない時は
未だに私もよくやりますが
「今日の面接で、最も強く言いたいことは何ですか?」と
正直に聞くのも手。

決してスマートとは言えませんが
「言いたいことを聞いてくれなかった」という応募者の不満は
絶対出ない、出るわけない(笑)

“なんちゃって面接官”より、確実に応募者の“コリ”をほぐせます。
(次回に続く)


※このコラムは2016/3/31発行のメールマガジンを再掲したものです。


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