高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■時間軸に沿って (2012/06/08)

前回の「聞く力」に
引き続き、今回も阿川さんネタで。

土曜日の朝、放映中の「サワコの朝」。

ゲストと阿川さんが
ただおしゃべりをするというシンプルな進行。
しかも30分という短さですが
同様の対談番組に比べて中身が濃い。

ゲストの人柄がとても伝わってきます。

もちろん収録は
その何倍も時間をかけているのでしょうが
構成が、よく練られており
これがこの番組、成功の一因だと感じます。

面接の構成としても参考になるので
私なりに紹介を。

先ずは冒頭
ゲストが登場する場面。

スタジオには
タイプの違うイスが並べられてあり
阿川さん、ゲストがそれぞれ好きなものを選んで
腰を下ろすところから対談が始まります。

番組としては、頭のほんの数秒。
しかもスポンサー名が紹介されるバックで
音声はオフ気味。
正直、何ということのない演出ですが
ゲストの緊張を解くのに利いているのが
見て取れます。

新卒採用もピークの頃になると
アイスブレイクどころか
学生が座るや否や
慌ただしく質問を始めるケースが大半。

でも、この冒頭の場面を見るたびに
アイスブレイクの重要性を再認識します。

そして時間や手間をかけなくても
工夫次第で相手の緊張を解く方法があるものだと
感心させられます。

まさか、応募者にイスを選んでもらうわけには
いきませんが
皆さんも工夫されてはいかがでしょう。

再び「サワコの朝」に戻って。

阿川さん、開口一番
「あなたにとって記憶の中できらめく曲とは?」

これは、ゲストにかかわらず共通の質問ですが
相手の過去、しかも最も記憶に残る時代に
一気にタイムスリップさせる方法に
こんな手があったかと
毎回、その効果に目を見張ります。

幸せだった(不幸だった)子供時代。
売れる前のお金がなかった時代。
逆に、忙しすぎて時間に余裕がなかった時代。

ゲストによって
思い出す時代はまちまちですが
その頃よく聞いていた曲名を口にしたとたん
当時のことを饒舌に話し出す。

過去にその人の「背骨」をつくった出来事が必ずある。
それを聞き出すのが
面接(この場合は対談)の大テーマとするならば
まさにこの構成は秀逸だといえます。

そして番組の最後
「今、心に響く曲とは?」という
これまた共通の質問。

すでに過去のエピソードを聞いているから
今の話で対比が際立ち、人物像に深みが増す。

対談であれ、面接であれ
過去から現在という時間軸に沿って聞くのが鉄則。

私はそう思うのですが
奇をてらわずこの鉄則を守るところに
今度は面接官(この場合は阿川さん)の「背骨」を感じます。

と、ここまで書いて字数が制限一杯。
次回、もう一回だけ阿川さんネタを書かせてください(笑)
(次回に続く)


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