高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■面接中のメモ (2019/11/01)

「菓子箱の下に小判」
時代劇あるあるが現実に起こっていたとは!

例の会見のニュースが流れるテレビを前に
思わず食事の手が止まりました。

歯切れの悪い、いや往生際の悪い役員たちの振る舞いは
まさに「越後屋」そのもの。
可笑しくて
思わず食事を吹き出しそうになりました。

この日、会見は4時間近くにも及んだそうですが
私が一番気になったのは、記者の質問を受けるたび
うつむいたまま、ひたすらメモを取る役員の姿。

「一体、何を書いてるんやろ?」最初は興味本位。

「ちゃんと答えんかい!」のらりくらりの回答に少しずつイライラ。

「難しいこと聞かれていないのに、なんでずーっと
うつむいてメモ取る必要あんねん!」
私の怒りはマックスに。
思わずお酒のピッチが上がりました。

この会見から1週間後
急転直下、辞任に至ったのはご存じの通りですが
その要因は
会見内容もさることながら
会見姿勢の不誠実さにあったと感じます。

話をするのに顔を上げない、相手の目も見ない。
「こんな当たり前のことが当たり前にできない人の話は信用できない!」
そんな当たり前の市民感情が「お裁き」を下したとも言えます。

さて、そもそも私がどうして会見中のメモが
気になったかというと
それが、面接官のメモを取る姿と重なったからです。

この役員と面接官を同じにするのは失礼な話。
でも、あえて失礼を承知の上でお聞きしますが
皆さんは面接中に何を書いていますか?

緊張で早口になる応募者、それも複数を相手に
面接を進行しながらメモを取るのは簡単ではない。

私が書けるとしたら、話のキーワードだけ。
応募者の「強みは協調性です。居酒屋でアルバイトのリーダーを…」
という話を必死で追いかけ
「協調性・居酒屋・バイトリーダー」と走り書きするのが精一杯。
しかも、それは応募書類に書いてあることばかりで
わざわざメモする必要がなかったりする。

この状況、応募者からはどう映るのでしょう。
自分が必死に話しているのに、時々視線を外してメモを取る。
面接官によっては顔を上げず、目も合わしてくれない。

もちろん
きちんと面接を進行して、きちんとメモできる方も
いらっしゃいますがそれは少数。
だったら、面接中は応募者の話をしっかり聴くことに集中。
終わってからメモを残してはいかがでしょうか?
より理解が深まり、応募者からの信用も得られます。

もし、万が一
私が走り書きしたメモを応募者が見たら
ブチ切れて、こう言うはず
「応募書類に書いてあることを、なんでずーっと
うつむいてメモ取る必要あんねん!」

お互い気をつけましょう。
面接官が評価を下す前に
応募者から「お裁き」を下されないよう!


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