高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■スーパースターばかりが必要か (2015/11/12)

「スーパースターばかり集めたチームが強いわけではない」
こんな見出しに目が留まりました。

マサチューセッツ工科大学が行なった実験によれば
好成績をおさめたチームには特別高いIQの人がいたわけではなく
ただ3つの特徴があったそうです。

1.高いレベルの社会的感受性。
「共感性」を測定する性格検査(テスト)で高い得点を取った人が多い。

2.お互い公平に時間を使う。
「議論を独占する」人や、逆に「傍観する」人がいない。

3.女性メンバーが多くいる。

これを読んで思ったのは
必ずしも、チームには強力なリーダーが必要ではない、ということ。
でも、多くの企業は必死にリーダーを求め探している、ということ。
そして、そうした企業の面接、採用時に実施する性格検査では
「共感性」よりも「リーダーシップ」が重視される、ということ。

「自信に満ち、揺るぎない意思で周囲をまとめる」

もちろん、こういうリーダーの必要性は認めるのですが
とてもとっても辛口に言うと
リーダーには、相手の気持ちよりも自分の思いを優先する「共感性のない」人や
会議では「何でも言ってみ!」と口にしておきながら
発言したとたん「ていうかさー」と口火を切って「議論を独占する」人が実に多い(笑)。

しかし世の中はうまくしたもので
こういうチームには、リーダーの思いをかみ砕いてメンバーに説き
また、彼らの気持ちをリーダーに代弁してくれる「つなぎ役」が必ず居る。

だから「人には適性があり、チームはバランスが大事」という平凡なオチなのですが
ここからは「そのオチをマジにガチで具現化しては?」という提案です。

例えば
1.全社で性格検査を実施、どういうタイプが多いのかを調べる。

2.社内でうまく行っているチームを検証して
どのタイプと、どのタイプをどう組み合わせたら良いか
ベストバランスの仮説を立てる。

3.ベストバランスの人員構成を全社拡大するうえで
不足しているタイプを優先的に採用する。

いかがでしょう?
「退職続きでそれどころではない!」そんなお叱りを受けそうですが
今も昔も退職理由のトップは「人間関係」。
人のタイプ、その配置に着目することがムダとは思えません。

「性格検査なんて必要ない!どう見ればよいか分からない!」
そんな声もあると思いますが
上手に活用すれば、面接の精度は格段にアップします。

仮に、性格検査で「リーダー」タイプと判定されたのなら
面接では、過去に自分の思いを強く主張した場面を特定し
「周囲の反応はどうだったのか?(反対者はいたか?)」
「その葛藤をどう克服したのか?」を質問してみる。

私の経験上
「反対者はいませんでした!」と即答する場合
反対されるほどの強い主張ではなかった、
つまり、良くも悪くも、さほど強いリーダーシップはないという人が多く
また「最初は反対されましたが、すぐに分かってくれました!」と言うときは
先ほどの「ていうかさー」型リーダーの可能性が高い。

かの松下幸之助さんはこんなことをおっしゃっています。
「だれも秀才ばかり採用したいと思いますわな。
けれど、ほんとうは秀才ばかり採用したら失敗ですよ。
必ず喧嘩しよるんですよ。だから、いろんな人を採用するんです。
それで、うまくいっているんです。」

性格検査の導入・活用は「マジにガチでアリですよ!」

※このコラムは2015/10/30発行のメールマガジンを再掲したものです。


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