高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■VSOP人材論 (2015/03/13)

かつて70年代に「VSOP人材論」という自己啓発本がありました。
その趣旨を要約すると

20代はバリバリ仕事をしよう=バイタリティが大事=V
30代は専門分野を決めて深掘りしよう=スペシャリティが大事=S
40代は自分でなくちゃできない仕事をしよう=オリジナリティが大事=O
50代は個人の人格と信頼で仕事をしよう=パーソナリティが大事=P
と、こんな感じです。

「今さら古臭い本の紹介なんて…」
そんなご意見もあろうかと思いますが
これ、面接手法・評価視点としては今でも良いヒントになると思います。

私なら
Vは「何に火の点く人なのか?」という
ヤル気スイッチの在りかをまず探る。
社内の人間関係(組織風土)か、金銭的報酬か。
仕事のやりがいか、はたまたお客様の笑顔か。
そして
その後、ヤル気スイッチがいつ頃できたのか
なぜできたのか、どの程度のヤル気なのかを
じっくり確認します。

こう言うと語弊があるかもしれませんが
採用(面接)時に
目的を明確にせず「なんとなく」性格検査を実施したり
性格的特徴を「ばくぜん」と質問するケースが散見されます。

性格を「せ・い・か・く」と大括りにしたままでは
面接(評価)には使えません。
20代、新卒採用なら
V、さらには「ヤル気スイッチ(モチベーション源泉)」と具体化し
質問の的を絞ることで初めて使いものになります。

今日、3月6日付の日経新聞に
「熱風パナソニック選考(同社が熱意のある新卒人材を高評価する)」
という記事を見つけました。
一見古臭いようで、実はこのV
周回して最新のトレンドになっているのかもしれません(笑)。

次はSです。
面接に不慣れな人がよくやらかすのは
過去の専門性を浅く聞いてしまうこと。

具体的にいうと
Q「何の経験が長いですか、どんな業務が得意ですか?(専門性の中身)」
A「○○です」
Q「なるほどなるほど」
A「そこでどんな結果を残しましたか?(専門性発揮による成果)」
A「△△です」
Q「それはスゴイですね」
といった淡泊なやりとりに終始している。

この質問自体は悪くないのですが
表面的な答えで満足せず、もっともっと深く細かく聞かないといけません。

例えば販売職なら
「どんな接客が得意でしたか?」や「個人の販売実績はいくらでしたか?」を
サラッと聞いても何も分かりません。むしろ評価を誤ることもあります。

大切なのは
過去の、表面的な専門性ではなく
未来も光る、本物の専門性を持った人かという見極め。

先の販売職の例に戻すと
子供連れのお客様が得意という人が
・単に、ファミリー層の生活圏内の店で働いていたからか
・わざわざ、育児経験者に話を聞いて、それをセールス・トークに活かしているからか。

販売実績ウン百万という人が
・たまたま、できる営業が売れ筋を手配してくれるからか
・苦労して、流動客をリピーターにする仕掛けをしているからか。
では、評価は180°変わるはず。

大企業の金看板を提げ、鳴り物入りで入った人が
入社後「あれれ?」となる理由は
ピカピカ光る金看板のメッキに目がくらむからです。
本物の専門性は表面の下、地金を見ないといけません。
(次回に続く)


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