高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■成長の転機 (2010/07/16)

応募者の「今」の実力を測るなら
「昔」話を聞いても仕方ない。
「ワシの若い頃は…」という話しを
延々聞かされても何も分かりません。

では、ここ最近のことだけを質問して
その人を丸ごと理解できるかというと
これも違う気がします。

社会人なら
入社してからの1日1日の積み重ねの先に
今日があるわけですから
そのキャリアを最初からたどることで
応募者をより深く理解できる。
私はそう考えます。

日経新聞で連載されている
「私の履歴書」をお読みの方なら
ご理解いただけると思います。

「あの人にはこんな過去があったんだ…」
「だからこんなコト考えるようになったんだ…」

実際はそんな単純なものではないのですが
過去と現在が一本の糸で結ばれたかのように
見えるときがあります。

ただ実際の面接では
「私の履歴書」のように
生まれたときから遡るわけにはいきません。

中途採用で私がよく使うのは
「一通り仕事を覚えたと実感するのはいつ頃ですか?」
という質問。
この質問の狙いは「いつ?(時期)」を聞くことではなく
「独り立ち」した頃の自分を思い出してもらうこと。

そしてここからが本番。
「そう感じるのはどんな出来事があったからですか?」
「その出来事は異動ですか?人との出会いですか?」
「それ以前と以降で自分の中で何か変わりましたか?」
こうした質問によってキャリアの変わり目を捉え
当時の出来事(経験)、応募者の意識・行動を掘り起こす。

「キャリアを捉える」ことについては、以前ここで
「山(自慢話)と谷(苦労話)に着目する」
というお話をさせていただきました。

変わり目、転機に着目するという点では「山・谷」も同じ。
ただ今回は「成長」の転機に着目し
応募者のキャリア、特にその前半(新人・若手時代)を
理解することに主眼があります。

先の質問で「独り立ち」の頃の話しが聞けたら
次の成長段階に焦点を移す。
「次に自分が成長したと感じるのはいつ頃ですか?」
という直線的な質問でも良いですし、
「次に自分がレベルアップしたと感じるのはどの仕事ですか?」
職務経歴書の異動歴を確認しながら質問しても良い。

繰り返しになりますが
これらの質問のポイントも「いつ?(時期)」ではありません。
応募者に当時の自分を思い出してもらうこと。
その間(時間)さえきちんと取れればしめたもの。
後はこちらがあまり聞かなくても
応募者からドンドン話してくれます。
(次回に続く)


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