高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■面接官には不向きなタイプ (2011/04/07)

皆さんのなかにも
年度始めでお忙しいという方が
たくさんいらっしゃると思います。

そして、決算発表を控え
日々、数字と格闘。
その結果に一喜一憂という方々が
これまた皆さんの周りに
たくさんいらっしゃると思います。

経験上、こういう人が主催する
会議には出たくないもの。
イライラ、カリカリ。
流れる空気の重いこと、重いこと。

ちょっと間延びした返答でもしようものなら
「そんなこと聞いてないよ!」と
いきなりカウンターパンチが飛び
間髪入れずに
「要は、分かるの?分からないの」
「とにかく、できるの?できないの?」
「結局、やるの?やらないの?」
あっという間にコーナーに追い詰められます。

どこにもいらっしゃいますよね。
「YES/NO質問」で部下に詰め寄る人。
もうお分かりのとおり
面接官には最も不向きなタイプ。

面接に向いていないといえば
こういう方には
もう一つ拙い共通点があります。
それは「考え・思い」をやたら聞きたがること。
「考え・思い」を聞けば相手のことが全て分かると
思っていること。

先ほどの続きでいうと
「要は、分かるの?分からないの」
「とにかく、できるの?できないの?」
「結局、やるの?やらないの?」に続けて

「ところで、どう思っているの?」
「いったい、何を考えているの?」
とさらに畳み掛けてきます。

最早こうなると「考え・思い」を聞くというより
やる気のある、なしを
試しているという感じでしょうか。

面接に置き換えると
Q「君は、大学時代○○ゼミだったの?」
Q「で、なんでそのゼミなの?他に無かった?」

Q「ウチに入ったら企画をやりたいの?」
Q「じゃ、営業はどう?イヤ?」

Q「海外営業所もあるけど、英語は大丈夫?」
Q「そう、仕事キツイけどやれる?中国はどう?」

面接官に悪気はなくても
「YES/NO質問」と
「やる気の確認」の繰り返しはまるで尋問。

いわゆる圧迫面接の実態とは
案外こんなものではないでしょうか?

さて面接が終わり
この面接官が口火を切ります。

「このなかでは、A君が一番だな!」
「テキパキ答えていたし、考え方もしっかりしている!」
「ウチで3年ほど鍛えてから、海外に行かせるよ!」

「YES/NO質問」に対する反応スピード。
「やる気の確認」で気持ちが前面に出ているかどうか。
肝心の答えの中身は吟味せず、こうした表面的な判断で
採用を決定してしまう。

そして案の定、問題が起こる。

会議の場面に戻ります。
Q「おいA君、君は前回、例の件すぐやると
言ってたのに全く進んでないじゃないか!」
A「スミマセン!すぐやります!」
Q「お前、良いのは返事だけだな!
まったく何、考えてるんだ!」
A「はい!スミマセン!」
Q「面接のときはもっとできる奴だと思ったのに!」

可哀想なのはA君、この桜が散る頃
5月病にならなければ良いのですが…。
(次回に続く)


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