高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■WHYを中心に (2009/06/25)

前回は ⇒ http://www.pvi.jp/column/takahagi/no88
応募者の「過去」の「思考・行動事実」に
「WHY(なぜそう考えた?そう行動した?)」の質問を
集中させる必要がある、と
お話したところで終わりました。
今回はその続きを。



繰り返しになりますが
従来の面接の視点が「未来形」
応募者の「思い」中心だとするならば
それを「過去形」
応募者の「思考・行動事実」に
切り替える。


簡単にいうと
「入社したら、私は御社でガンバリます!」という
不確かな回答を信頼するよりも
「前職、私は○○をガンバリました!」という
事実に基づく回答に注目、そこに質問を集中する。
その方が、面接の精度は確実に上がります。


皆さんが面接官なら
「入社後にどうなりたい?何をやりたい?」(未来形・思い)
といった質問に時間をかけず
「入社前に力を入れたことは?」(過去形・行動事実)
「なぜそれに取組んだ?」(過去形・意図)
などを軸に質問を組み立てればよい
ということになります。


しかし
ここで気をつけていただきたいことが。


ベテラン面接官にもよく見受けられるのですが
過去の行動事実を掴まえているにもかかわらず
その「意図」を聞かずに
つい「成果」に関心を向けてしまう。



面接官「前職では購買プロジェクトのリーダーを経験されたんですね…。
    その結果、経費削減効果○千万ですか!スゴイですね!
   (ぜひ我社にお越しください!)」

こうして採用した人が、期待通りの活躍をしてくれない。
ちょっと単純ですが、こんなパターン。

やはりここは
「WHY(なぜそう考えた?そう行動した?)」の質問を
中心に進めるべきです。


面接官「前職では購買プロジェクトのリーダーを経験されたんですね…。
    プロジェクトは何から手をつけましたか?」
応募者「全ての取引先を訪問することにしました」
面接官「なぜ(WHY)、そうしたのですか?」
応募者「今後もウチと真剣に取組む意思があるかどうか、反応を確かめるためです」
面接官「なぜ(WHY)、確かめる必要があるのですか?」
応募者「購買コストを下げるために、取引先を集約しようと考えたからです」

 …

こういう回答が出来る人なら
採用を前向きに考えても良いかもしれませんね。

成果も大切ですが、それより重要なのは
応募者が何(WHAT)を
どのように(HOW)取組んだのか、という「プロセス」

本来、そのプロセスの一つひとつに
応募者の「意図」があるはず。

意図のある人
自分の頭で考えて行動している人は
こちらがいくら「WHY」を投げても
きちんと打ち返せます。


でも
「上司から命令されて」
「やらざるを得なくなって」など
自分の意思が強く反映されずに行動する場合
いくつか「WHY」を投げると
回答に詰まってしまう。

これは面接の応募者に限らず
私、そして皆さんにも思い当たるところが
あるのではないでしょうか。

例えば、家人に帰宅時、牛乳を買ってくるよう
依頼(命令?)されたことについて
根掘り葉掘り「意図」を聞かれても困りますもんね。

(次回に続く)


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