高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

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■“辞めない”面接 (2015/09/28)

「“辞めない”人事評価制度づくりのポイント」

先月、こんなセミナーをやらせていただきました。

当日は、評価制度に関心の高い参加者だけでなく
“辞めない”というタイトルに惹かれた方もちらほら。

苦労して採った人にいかに「残ってもらう」か。

その表情からは
「辞めない、辞めさせない」ことがいかに切実な問題か
ひしひしと伝わってきます。

世はまさに求人難。
そして、この問題はもはや正社員だけに限りません。

ある調査によると
パート・アルバイトが辞めない理由の
1位はコミュニケーション
2位が教育
3位が評価(昇級・昇格)とのこと。

やはり
人が働く目的はお金だけではないようです。

セミナーでも
「評価は給料を決めるため(だけ)の仕組みと思っている会社は失敗する!」
などと偉そうにお話ししたのですが
所詮、お金だけで繋ぎとめることはムリ。

逆に、うまく人材を繋ぎとめている企業は
評価を単なる仕組み(制度)で終わらせず
先の調査でいう
1位「コミュニケーション」の機会
2位「教育」の道具としてもうまく活用していると感じます。

たとえば、面接という評価の一場面を切り取っても
「どういう人を求めているか?」という人物像を
説明会だけでなく
面接でも「コミュニケーション」することが大切。

こんな正論を吐くと
「当たり前、分かっている!」とお叱りを受けそうですが
しかしながら
社名さえ変えれば、どこでも使えそうな「玉虫色」の人物像でよし
とする企業がまだまだ多い。

ましてや、「求める人物像」を伝えることは
「求めない人物像」を伝えることでもあるという本質を理解し
また、それを伝えきるコミュニケーション力をお持ちの人事マンは
なかなかいらっしゃいません。

「求める人物像」、評価全般でいうところの「評価項目・要件」。
一言に集約するならそれは「基準」。

基準には自社の等身大を示す「高さ」が必要であり
自社の等身大を映す「中身」が必須です。

求人難だからと、腰低く基準を下げれば良いわけではないし
応募多数だからと、高飛車に基準を上げるのもおかしい。
皆様の企業の基準は
等身大を示す「高さ」になっていますか?

どんな行動・成果が○で、どんな行動・成果が×か。
皆様の企業の基準は
等身大を映す「中身」になっていますか?

基準を創り、伝え、求める。

応募者との最初の接点、面接の場面にこれが必要で
これこそが入社後に続く「教育」の第一歩だと思います。

何事も最初が肝心。
「辞めたい」と言われてから慌てても「後の祭り」。
面接で「後出しジャンケン」は通用しません。
(次回に続く)

※このコラムは2015/9/18発行のメールマガジンを再掲したものです。


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