高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■地道に、愚直に、丹念に (2018/01/18)

「あなたのES(エントリーシート)高く買います」

どこかのCMみたいですが
就職サイトが、内定を得た学生のESを買い取り
翌年の就活生に公開するサービスが最近広がっているそうです。

企業によって買い取り額は変わるらしく
人気企業なら1社最大5000円とか。

「使わなくなったバッグをメルカリで売って小遣い稼ぎする」
当の内定者はその程度の感覚なんでしょう。

一方の就活生にとっては
正解が分からないESの書き方を
手っ取り早く教えてくれる(コピペさせてくれる)絶好のサービス。
短期決戦で勝負が決まる最近の就活事情も手伝って
とても好評とのこと。

ひょっとすると、今年の内定者、皆さんが評価したのは
生身の「人」ではなく、数千円で売られた「ES」かもしれません(笑)

書きながらとても虚しくなるのですが
もはやESは使い物にならないのでしょうか?

いやいや、面接官によって、使える、使えない、の二極化が進むだけ。
そして、その差を分けるのは「情報収集力」。

ESには必ず応募者の「経験」が書かれているはずで
そこから
応募者“ならでは”の「思考・行動特性(考えぐせ・行動ぐせ)」を
どれだけ情報収集できるかどうか。

情報収集の下手な面接官「あるある」ですが
「何を質問したら良いか分からない」とよく口にします。
それは情報収集する「枠組み」がないから。

部屋を片付ける時に
どこから手を付けて、どこに、何をしまうか。
その「ルール」がないのと同じです。

では、その「枠組み」の正体とは…
このメルマガでは「PDCA」がよく登場します。

応募者が「いつ何を考え(Plan)、どんな行動をして(Do)
どんな結果になり(Check)、どう対処したか(Action)」という
プロセスに沿って情報収集する。

あるいは「SBI」というのもあります。
「どのような状況で・どんな状況の時に(Situation)
どんな振舞い・行動をして(Behavior)
どんな影響をもたらしたか・何が良かった、悪かったか(Impact)」という
プロセスに沿って情報収集する。

「PDCA」、「SBI」、何れにしても
応募者が書いたもの、話したこと
その全てから情報収集し、足りない情報は質問で補う。
その絶好の情報源がESなので
結論、ESは今後も欠かせない採用ツールだと断言します。

地道に、愚直に、丹念に
情報収集すれば、それが本人の経験に基づいたものか
コピペしたものか、自ずと分かります。

横着に、適当に、足早に
情報収集していると
名前も知らない人のESを高く買わされることになりますよ。

そして…
他人のESを平気で拝借するような人は
社内の機密情報も平気で漏らすかもしれません!


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