高萩 幸男
(Yukio Takahagi)
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面接官のトーク術(79)
■一つ上の目線で (2011/11/21)
日本マクドナルドは
CEOである原田氏とのディスカッションを通じて選考する。
「ユニークな採用手法」として
あちこちのニュースで取り上げられていましたが
これ本当に「ユニーク」なんでしょうか?
常々疑問に思っていたのです、どうして多くの企業は
「トップが直々に面接しないんだろう」と。
企業は人なり。
そして生涯賃金は3億ともいわれる。
そんな重要な「投資案件」をどうして人事に委ねるのか?
「何を抜かすか!それをトップから託され
立派にやり遂げるのが人事ではないか!」
そんなお叱りの声が聞こえてきそうです。
そんな鼻息の荒い人は良いとして
そうじゃない人
人事マンとしての責任や気概が
感じられない人もあちこちで見受けられる。
「皆さんの会社では、人事部長が課長の、課長がメンバーの
仕事をしていませんか?」
例えば面接。
大半の会社では、メンバーが1次面接を行い
クリアすれば課長面接(2次)、部長面接(3次)と進み
最終面接に役員や社長が登場する。
私が気になるのは
そこにかかわる面接官の意識。
1次面接では“可否”の判断をせず
ほぼ全員を課長面接に上げてしまう。
「判断するのは課長の仕事!」
「自分には判断する力がないから…」
こんな声がメンバーから聞かれます。
次に2次面接。
1次面接の内容を確認するわけでもなく
課長は同じ質問を繰り返す。
そして、明らかに違うと思う人以外はすべて3次面接に上げる。
「判断するのは部長の仕事!」
応募者の書類整理や電話対応といった
メンバーがやるべき仕事には
やたらフットワーク軽くフォローに入る課長が
本来果たすべき責任を果たせない。
そして3次面接。
結局多くの応募者から話しを聞くはめになり
部長は深く突っ込んだ質問ができない。
ただでさえこの後の社長面接が気になって
彼らが気に入りそうな無難なタイプを最終面接に送り込む。
「最後は社長に決めてもらおう!」
思うに、こういう会社に共通する特徴は
@応募者情報の共有、引継ぎができていない。
⇒1次〜最終面接まで「同じ質問」が繰り返される。
A自社の求める人物像が曖昧。
⇒「チャレンジ精神に溢れる人材」など
どの会社にもあてはまりそうな抽象的な要件や人物像しか
描けていない。
そして何より
B人事だけでなく、全社的に部長が課長の
課長がメンバーの仕事をしている。
もし自分が課長なら、部長なら、そして社長なら
「誰を採用するか?」
一つ上の目線で仕事をすることが大切では?
もし人事にそれができないなら
社長自らが面接して一発で採否を決める。
その方が応募者にとってよほど親切では?
まさかマクドナルドのケースはこれに当たらないと思いますが
皆さんの会社はいかがでしょうか?
(次回に続く)
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