高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■社員の共感 (2010/03/19)

仕事柄、色々な会社を訪問させていただくのですが
一歩足を踏み入れたところから
その会社のカラーが垣間見えます。

同じようなことは
就活中の学生さんもよく口にしますね。
これ、中にいる社員さんは案外気付かない。
「外の人」だから気付くんでしょうね。

いやらしい話ですが
私は訪問先で必ず掲示物(貼紙)をチェックします。
「旬」の話題が一目瞭然ですし
何よりもその会社の
「人に対する考え方」がよく理解できるからです。

例えば、給湯室にあるゴミ分別の貼紙
その文末、たったそれだけをみても
「…と捨ててください!」
「…と捨てましょう!」
「…と捨てること!」
という3種類では、社員に対する考え方が微妙に違う。
そしてその貼紙の下
キレイにゴミが分別されているのか
そうでないのかを見れば
先の考え方に対する社員の反応が見て取れる。

前回、組織を構成する人たちの「共感」について
お話ししましたが
会社(経営)の「人に対する考え方」が明確であり
また社員が
その考えに「共感」していることがとても重要。
これは採用に限らず
企業活動全般についてあてはまることですが。

「そんなこと言われなくても分かっています!」と
おっしゃる方もあるでしょうが
中にいる皆さん以上に「外の人」の私には
それが企業力の差になっている事実に
今更ながら驚かされます。

話しは変わりますが、人事の皆さんが
学生からこんな質問を受けている場面によく遭遇します。
「人事の方がこの会社に決めた理由は何ですか?」
「人事の方が思う、自社の良い(悪い)ところは何ですか?」

ひょっとしてこれは皆さんを介して
会社の「人に対する考え方」
それに対する社員の「共感」を
探ろうとしているのかもしれません。

だとするとこの質問
「ウチはどんな人にとって居心地のイイ会社です」
「だからそういう人がウチにはたくさん集まってきます」
という自社のメッセージが
学生にちゃんと伝わっていないことを知らせるシグナルだと
考えられませんか?

採用には
「求める人物像を明確にする」という鉄則があります。
ところがこれを面接官同士で話し合うと
「私は責任感が必要だと思う!」
「違う、リーダーシップだ!」と意見が食違い
最終的にそれら全てを盛り込んだ
壮大な「能力基準」を作り上げてしまいがち。

そしていざ面接本番になると能力基準など何処へやら。
「彼って爽やかだね!採用!」とか
「彼女は華がないよねぇ…ダメ」で済ませる面接官が実に多い。
「華」って一体何でしょうか(笑)?

応募者に何かを求める前に
先ず自分たちのスタンスを固める。

人に対する考え方、共感
それを「伝える」言葉を面接官としていくつ持っているか
それを「伝える」機会を面接官としていくつ設けているか
とても大切だと思います。
(次回に続く)


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