高萩 幸男
高萩 幸男
 (Yukio Takahagi)

■コラムテーマ別
 + 面接官のトーク術(79)
■ブレーキではなくアクセルが踏める人 (2014/04/25)

学生の「就職人気企業ランキング」で
ここ数年、1位を取り続けているのが世界企業グーグル。
その人事責任者、ラズロ・ボック氏が
自社の採用について語る記事がとても刺激的でした。

「地頭力を試すのは時間の無駄だった。飛行機の中にゴルフボールを
いくつ詰め込めるか。マンハッタンに給油所は何か所あるか。
こんな質問では何の予測もできない」

この種の難問奇問を解き明かす力と、将来業務で発揮できる能力やIQとの
関連性に疑問が生じたという理由で、昨年から試験内容を改めたそうです。

かつて(今も?)日本でも
コンサル業界を筆頭に「地頭」という言葉が大流行。
私もその尻馬に乗った口ですが、こうもハッキリ否定されると
流行に踊らされていた自分が恥ずかしくなります。

同じくボック氏の発言です。
「秀才はもうイイ」
「採用基準として大学の成績評価は価値がない」

日本企業の
ブランド(大学名)信仰が復活
成績偏重の面接が横行という最近の報道とは対照的ですね。

誤解があってはいけないので「もちろん成績はいいほうがいい」と
ボック氏も付け加えてはいますが
地頭、成績にこだわらないとするならば一体何を重視するのか?

記事によると、その答えは
「一般的な認識能力。それは知能指数とは違う学ぶ力。
臨機応変に処理する能力。バラバラの異質な情報をひとまとめにする能力」
とのこと。

これらがズバリ何を言わんとするかは正直分かりませんが
漠然となら分かる気がします。

私の経験上
「秀才はもうイイ」で思い当たるのが
「コレコレをやると、コレコレの問題が起こる」と
会議などで頭から“ブレーキ”を踏む人。
リスク回避に論理と知識を使うタイプです。

その一方
「問題が起こっても、コレコレをやりましょう」と
最後のさいごで“アクセル”の踏める人。
リスクテイクに勇気と知恵を出すタイプも居るにはいますが
最近はめっきりお目にかからない。
そして不思議なことに、上からの受けが良いのは前者の秀才タイプ。

確かに…。
「データからみて、ピンクのクラウン(車)なんて売れるわけありません!」
と冷静に説く人のほうが
「やってみないと分からないじゃないですか!」
と熱く食下がる人より
“賢そうに”見えるんですよね。残念ながら。

でも…。
事実を事実として導き出すだけの秀才
賢さをブレーキだけに使う人をもてはやすのは、そろそろ止めにしませんか。

“学ぶ力” “バラバラの異質な情報をひとまとめにする能力”
ボック氏のこれらの言葉は
色々な角度からモノを見て、いっぱい試行錯誤して
新たな価値を生み出せる人、生み出す努力を怠らない人を連想させます。

あと数年もすれば
案件のリスクを耳元でささやくのは“人”ではなくなる。
きっとグーグルがスマートな端末を開発してくれるはずです(笑)。

不器用でも、前に一歩踏み出そうとする人に手を差し伸べませんか。
(グーグルの採用基準の話は次回も続きます)


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