今　恒男コンサルタントコラム - 厳選採用　（2010年新卒採用総括より） -| PERSONAL VISION INSTITUTE |-

今　恒男
　(Tsuneo Ima)

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■厳選採用　（2010年新卒採用総括より）　(2009/07/07)

採用活動も一段落となるこの時期、
多くの就職情報会社で総括セミナーが開催されています。
私自身も出来るだけ足を運び、
新鮮な旬の情報に耳を傾けるよう努めています。

急激な景気後退を背景にスタートした
2010年新卒採用のキーワードは、“厳選採用”だそうです。

多くの企業では採用計画の見直しを余儀なくされ、
新卒採用そのものは継続して実施していても、
採用予定人数は縮小傾向にあるのが実態です。
今年の大卒求人倍率は、
4年前（2006年-1.60倍）とほぼ同率の1.62倍だそうですが、
あくまで採用予定者数ベースの数字ですので、
実質的には若干の下方修正が必要ではないかと思います。

私も採用担当者だった頃に経験があるのですが、
採用予定人数が活動中に増えた場合には、
とにかくあらゆる手段を駆使して追加採用の告知をします。
しかし逆の場合、あまり手を講じた記憶はありません。
つまり採用計画時の予定人数のまま。
（もちろん説明会等では訂正しましたが・・・）
結果、「当初の予定を下回りました」という形で終結。

本来であれば、採用側優位の環境であり、
例年に比べ集中して活動出来るはずの今期、
実は新卒採用に苦戦されている担当者の方、意外と多いようです。
その要因が今期のキーワード、“厳選採用”です。

厳選採用とは、
採用人数が縮小された分、厳しい条件で選考を重ね、
より「いい人」を採用するといった感じでしょうか。

ところが、採用活動を終えていざ内定を伝えてみると、
他社からも複数の内定をもらっている。
優秀な学生さんほど当然ながら
どこからも採用したいと内定が重なって出るはずです。

プロ野球のドラフト会議同様、
学生さんは最終的には1社しか選べないので、
選ばれなかった企業は、逆に内定者に厳選される残念な結果に。
急いで同レベルの学生さんを探せども、既に活動は終えていて、
「こんなはずじゃなかったのに･･･」と。

今年は本当によく耳にします、このようなケース。
手間や時間に加え、採用媒体の追加発生など、
予想外に業務や経費が増え、対応に追われているご担当者の方もおられます。
では、なぜこういった事態に陥ってしまったのでしょうか。

理由の一つは、採用基準の変化ではないかと思います。
本来なら自社基準で採用活動すべきところを、
「今年はもうちょっといい人が採れるのでは」ということから、
わざわざ厳しい選考をしてしまったことです。

しかも、「もうちょっといい人」の基準も曖昧で、
本来はその学生さん本人を評価すべきところなのに、
「有名な㈱○○や人気の□□㈱を受けているような優秀な学生」というように、
的外れな見方をしていたケースもあったようです。

厳選採用は時に必要な手段ではありますが、
わざわざ自社に合わない（＝基準外の）人材を採用することは、
内定辞退や入社後の早期退職、モチベーション低下など、
定着･戦力化からは程遠い結果を招きかねません。
採用活動の一場面では高い成果のように見えても、
中長期的な観点では、企業にとって大きなロスとなってしまいます。

自社の物差し（採用基準）を他社の物差しに持ち替えない勇気も、
採用活動では大切なことではないでしょうか。

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