今　恒男コンサルタントコラム - 人材確保＝採用ではない① -| PERSONAL VISION INSTITUTE |-

今　恒男
　(Tsuneo Ima)

■コラムテーマ別
　+ 新卒採用（37)
　+ 中途採用（1)
　+ 新入社員研修（8)
　+ 若手社員の定着・戦力化（8)
　+ 採用実務（7)
　+ “辞めない”人材採用と育成（20)

■人材確保＝採用ではない①　(2019/10/25)

この秋より、
中小企業に人材確保支援を行う国の事業に携わっています。
事業は好調にもかかわらず、人手不足によって足踏みしている中小企業に専門家が様々な角度からアドバイスし支援する取り組みです。

先ごろ対象となる企業が選出され、私はその中から大阪府と福井県の8社を担当することになりました。
そこで、先日各社を訪問し、ヒアリングを行ったところです。

どちらの企業様も
「いや～なかなか採れないですね～」とおっしゃるのは共通。
お話をうかがっていくと、採用活動について改善するべき課題がみえてきました。
それは以下の二つにほぼ集約されます。

（1）キレイすぎて　中がよく見えない
求職者の目線で求人広告などの広報資料を拝見してみると、キレイに整えすぎて中が見えない
…つまり応募者がリアリティを感じられず、なかなか応募のきっかけがつかめない。

（2）やっているが　できていない
確かに就職サイトやセミナーなどを使って採用のための活動は「やっている」ものの、
サイト掲載や出展することが目的化してしまっている。
そのあとは応募者が来てくれるのを待ち続けるのみ。
…つまり受け身になってしまっている。

さらに丁寧にヒアリングしていくと、いくつかの企業様では別の課題も見えてきました。
それは「人材育成」です。

若手を育てられず辞めてしまう　
⇒　採用活動で補おうとする　
⇒　でも採れない　
⇒　採れたとしても育てられない…というサイクルがずっと続いているという企業様が多かったのです。

この“育てられず辞めてしまう”を止めなければ人手不足は解消されません。
そもそも若手が成長してくれたら？もし辞めなければ？
当然採用活動を行わなくても済むのです。

ではなぜ若手社員が育たず辞めてしまうのか？
この問いについても共通点がみえてきました。

（1）育成する側が　教えたつもり　で育てきれていない
教える立場の方々が教えているつもりが指示を出すだけで終わることが多く、
ほんとうにできるようになっているか確かめるステップがない。
まだまだ「背中を見て学べ」感覚の方も意外に多いようです。

（2）若手社員は　仕事の道具を持っていても　使っていない
一方育成される側の若手社員はまじめで素直な方が多いそう。
でも、まじめにやっているのになかなか成果につながらない。どうもやり方に問題がある。
そこで、例えば、報連相やPDCAは教えていますか？と聞くと
それは新人研修で教えているのだが、職場では実践できていないのだそうです。

職場で使えるようになるまで、使い方を教えていない上司・先輩の責任なのか、
「分かった？」と訊かれると分かってなくてもつい頷いてしまう現代の若者らしい素直さ？（従順さ？）なのか。
もしくは、その両方？
またはもっと別の原因があるのかも。

いずれにしろ、今後調査をさらに進めて各社特有の課題を明確にしたうえで「あるべき姿」にどうたどり着くかをお互いに考えていくステップに入っていこうと思って
います。

これは「こうすれば○人採用できます！」という目先の解決法ではありませんが、
今よりも人が育ち、より活躍してもらえれば定着することにもなりますし、
よほど効果的な人材確保になるのではないかと思います。

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
Copyrightc 2019 PERSONAL VISION INSTITUTE CO.,LTD. All Rights Reserved.
このコラムの全部または一部を（株）パーソナルヴィジョン研究所の事前承諾なく、
いかなる形式・媒体にも複写掲載することを禁じます。

コラムテーマ：＜“辞めない”人材採用と育成＞