今　恒男コンサルタントコラム - 採用実務のブラッシュアップ（8）親の背を見て子は育つ -| PERSONAL VISION INSTITUTE |-

今　恒男
　(Tsuneo Ima)

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■採用実務のブラッシュアップ（8）親の背を見て子は育つ　(2015/10/09)

先日弊社のFacebookでも取り上げました
最近の若手社員が大事な報告や連絡をメールで済ませてしまうという話。
http://dot.asahi.com/dot/2015083100015.html

改めてこのメールマガジンでも取り上げてみようと思います。

若手人材育成がテーマのセミナーで私はよく
「先輩が手本を示す」ことの必要性について触れています。
なぜなら、研修で学んだことを発揮するのは、自分の職場。
ところがその職場が「どうせ先輩はやっていないし・・・」という環境では、
長続きは期待できないからです。
新入社員や若手社員は上司や先輩社員を映す「鏡」なのです。

なぜ大事な報告や連絡をメールで済ませてしまう若手社員がいるのか。
それは「鏡」だからこそ。
そして、この問題はたどっていけば採用活動から始まっています。

学生たちが志望した企業から受ける対応は
初めての社会から受ける対応です。

彼らにとって合否の結果はとても重要なこと。
しかし多くの学生たちはそれをメール1本で知らされる。

その代表格は、不合格者への「お祈りメール」。
「今後のご活躍を心より“お祈り”致します」という各社そう変わりのない文面が
名前差し込みで一斉送信されます。
連絡があるのはまだよい方で、不合格者には連絡すらない「サイレント（＝無言）」のケースも。

合格連絡の場合も、
本人の喜びや戸惑いを直接聴かずに、事務的に連絡するのが基本です。

最も重要な内定の連絡さえメール。
内定承諾書は、さすがにメールという話は聞かないですが、
封書でやり取りを済ませるというケースは比較的多いようです。
承諾書に法的拘束力はないとはいえ、学生にとっては捺印を求められる重みのある書類。
顔も見ず、署名捺印後の握手もないやりとりがベストとは私には思えません。
ましてやその内定者の定着と戦力化を期待するならばなおのこと…。

学生たちにとっては初めての経験ですから、郵送されてきた承諾書を眺めて
「大事なことなのにこんなに簡単なの？」と思いながらも、
「社会ではこういう風にするものなんだ」と刷り込まれてしまうのではないでしょうか？

その刷り込みが「何でもかんでもメール連絡」につながっていく。
ましてや彼らにとってメールは幼いころから親しんできたツール。
一度受け入れてしまえば抵抗はないでしょう。
もちろん、これだけが原因というのは言い過ぎかもしれませんが、そういった側面はあると思います。
そんな彼らの立場に立って「常識で考えたらわかるだろう」と一蹴できますか？

私はよく採用活動は人材育成のスタート地点とお伝えしています。
応募した学生たちは採用活動によって
その企業の考え方や姿勢、こだわりなどを疑似体験しているのです。

他の企業がそうしているから、そういうものだから、と段取りとしてやるのではなく
「ウチ流」の姿勢・こだわりを行動で示す機会と考えてください。
この会社に入ったら「自分もこういう風にするんだな」ということを
採用活動を通して教えてあげる訳です。

「ウチは大事な連絡はメール1本で済ませない」というのであれば
合否の連絡もきちんと声で伝える。

「そんな手間のかかること」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
でも、相手は、仲間」なる「大事な人」です。
入社後の彼らに「血の通った」仕事を期待するのなら、
ぜひ採用時に血の通った対応をしていただきたいのです。

※このコラムは2015/10/2発行のメールマガジンを再掲したものです。

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